YELLOW BASE COFFEE

長崎県の離島、対馬。ここに、カフェを主体に人々が集い活動の拠点となるような場所「YELLOW BASE COFFEE」を計画しました。

クライアントは、「対馬を盛り上げたい」という思いをもったオーナー夫妻。その場所自体が語りかけるような「対馬らしく、人が集まる場所でありたい」という思いを汲んで、まずは対馬の歴史や文化、そして対馬らしさを探ることから計画をスタートしています。

私たちが対馬を初めて訪れたときに印象的だった場所。それは、石屋根や波が力強く打ち付ける岸壁、豊玉姫が祀られた墓、一つ一つ積み上げられた石垣や石の鳥居といった石のある風景でした。調べてみると、対馬と石には深い関係があるとのこと。地域に根付いた「対馬石」の存在を知った私たちは、その魅力に惹かれ、この石を店内に設置することを提案しました。対馬の職人さんたちと共に対馬の材料を用い、ここでしかできない空間づくりを目指してオリジナルの家具も制作しています。

窓際に設置したベンチは、岸壁の柱状節理をイメージして六角柱で構成しました。オリジナルで制作し、立体的な組み合わせと動きによってこの場所での活動を促します。また、山で採石した対馬石は店舗中央に据え、空間に重心を生み出しました。ここでは、様々な活動やイベントを開催しながらも軸のぶれない“BASE(=基地・拠点)”の在り方を提案しています。

YELLOW BASE COFFEEは未来にかけて幾つものフェーズを持っています。ここはまだオープンしたばかり。テイクアウトで珈琲を楽しむ方や、店内でくつろぎそして語り合う方々。この場所が人と交わっていく風景のなかで、ゆっくりと時間をかけ、いつのまにか「対馬の拠点」になっていくことを期待しています。


場所|長崎県対馬市
用途|飲食店(カフェ)
クライアント|YELLOW BASE COFFEE
設計・監理|株式会社スタジオモブ
施工|対馬工務店・STUDIO DONUT
撮影|exp 塩谷 淳