藍森山・森山絣工房

「藍森山 森山絣工房」は、福岡県広川町に位置し、久留米絣の歴史を担ってきた工房です。
1858年に創業し、167年もの間、絣の糸整経から生地作り、販売に至るまで一貫して手がけてきました。しかし、2023年7月に発生した九州北部豪雨によって、工房は甚大な被害を受けました。藍染めの染料を保管する地中の甕は、大量に流れ込んだ河川の水で浮き上がり、壊れて散乱し、染料も汚水と混ざって使えない状態になりました。さらに、製作途中の製品や藍の原料も土砂に埋もれ、工房は一瞬でその機能を失いました。

今回の改修では、単なる復興ではなく藍染め体験や現地での販売の強化することを目的に、工房内に新たなスペースを計画しました。染め場や工場に加え、作業場兼ギャラリー、受付・物販エリア、休憩所を設置し、上げ床でそれらをつなげることで回遊性を持たせています。
また、これまでの工房では、地中に埋められた甕が互いに近接して配置されており、地面も濡れて滑りやすかったことから、職人たちの作業環境を最適化することにも重点を置きました。甕の配置を再検討し、職人たちの作業効率を保ちながらも安全通路を確保することで、職人がより安全に作業できる環境を整えると同時に、お客様も安心して見学できるようにしています。

また、県内外や海外から訪れるお客様にとっても藍染め体験や製品の購入がしやすくなり、地域とのつながりを深める場としての機能も強化されました。多くの仲間たちの協力を得て、この工房は新たな歴史と文化を発信する拠点として生まれ変わります。この改修計画が、地域の活性化とともに、持続可能なまちづくりへと繋がることを期待しています。