今、印刷がおもしろい[中編]

23/04/24


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-社内に対して《インサツビト》の企画プレゼンしたときは、どんなお話を?

河村さん:会社としても前例のないことだったので「私たちはこんなサービスがやりたいです!」ということからはじまり、そのためにはこんな機械が必要で、こんな想いを持っています、というのを伝えました。

竹内さん:市場も調べて、僕たちの目標地はここです!みたいな感じで。

木本さん:3年後の収支計画も算出して。

河村さん:スタートアップみたいな感じでしたよね。

-社内企画でここまでやり抜くって、すごいですね。

河村さん:ありがとうございます。チャレンジに対して寛容的な社長というのもあって、いい機会をいただけたと思います。

竹内さん:でも、はじまってしまうとプレッシャー満載(笑)

村上さん:プレゼンした金額と今の売上を比べるとね(笑)

 

-みなさんの《インサツビト》に対する想いとは?

竹内さん:今までにない自社サービスということで、新しいお客さまとのつながりをつくっていきたいです。広島では、中本本店の存在を認知いただいていますが、県外となればそうではない。《インサツビト》をきっかけに、全国のお客さまとつながっていけたらいいなと思っています。

河村さん:正直、印刷って機械が同じであればどこの会社で刷っても一緒というか、大きな差がつきにくいんです。そうなると価格勝負になってしまいます。でもそうじゃなくて「中本本店さんだから」と言っていただけることを目指したいですね。

 

-確かに、個人の利用者からすると、ネットプリント以外で印刷できる手法を知らないというのもあって、結局、価格で決めちゃったり…。でも、こだわって作りたい人も確実にいますし、そのマッチングがポイントになりそうですね。

木本さん:一番はそこですね。どこまで私たちのことを知っていただけるか。

竹内さん:直接、デザイナーや職人と会って打合せできる体制というのも、なかなかないですし。

河村さん:事例紹介というか、自社の制作物を積極的に紹介している企業も少ない気もしますしね。

竹内さん:そういう点も含めて、新しい取り組みだと思います。

 

-海外だと、クリエイターと工場が一緒にものづくりをやって展覧会をするケースもありそうですが、日本だとそういう印象はあまりないですね。協同という点では、印刷会社の中にデザイナーが所属しているというのも、ユニークな体制なのでは?

竹内さん:僕の名刺にも《LIGHTS LAB》と書いている通り、「デザイン部署」ではなく「デザイン会社」のような位置づけにしているんです。ひとり一人の個性(光)が集まるという「LIGHTS」。やっぱり、会社名だけでなくて個人が売れていかないと仕事って取れないので、デザイン会社のような動き方をしています。

-《LIGHTS LAB》には、何人くらい所属されているんですか?

竹内さん:15名くらいでしょうか。

-おお、多いですね。

竹内さん:あ、でも役割はいろいろあって。プランナー、ディレクター、コピーライター、グラフィックデザイナー、それからウェブチーム。

-すでに社内で、制作チームができているんですね!

竹内さん:撮影部隊以外は、全部そろっています。なので、企画から印刷・納品までワンストップでできちゃいます。

-おもしろいですね。

竹内さん:「中本本店」という組織内で、ほぼ完結できるようにという主旨で部署を作っています。

-つまり、デザイン部門と印刷部門の両方があるってことですか?

河村さん:詳しく説明すると、デザイン部、営業部、印刷部、あと、文字組やデータチェック、下版をする「プリプレス部」もあります。

 

-プリプレス部というのがあるんですね。文字組とは、どんなことを?

河村さん:ポスターのようないわゆる「デザイン」とは少し違うのですが、教科書とか社内報とか、文字がメインなものを組んだり、レイアウトをしています。資料とかでも「キレイに組んでいるな~」みたいなのって、ありますよね。

-あ、情報が「文字」のパターンですね。

河村さん:そうですそうです。レイアウトにデザイナーが入る場合もありますが、デザイン部かプリプレス部か、きっちり区別するのは難しいので、どちらにするかは予算に応じる場合が多いです。ただ、文字組はプリプレス部の方が得意だと思います。例えば文字がびっしり200ページの印刷物とかなると、プリプレス部でしっかり組んだほうがキレイに仕上がります。

竹内さん:僕たちデザイナーは文字を「絵」として見ちゃうので…。

-なるほど、文字を情報としてみるか、絵としてみるか。

竹内さん:はい(笑)

 

-例えば、この部分にコピーを入れたいんだけど…みたいなときに、そこだけコピーライターさんが担当するパターンもあるんですか?

河村さん:はい、そういう事例もあります。

 

-デザイナーさんが見る文字は、またちょっと性質が違うのかもしれないですね。ここで改行するんかい!みたいなこともありそう(笑)

竹内さん:よく言われます(笑)これじゃ、読みづらいでしょって。全角半角とかも(笑)

-文字は情報ではなく、「塊」として見ているんですよね(笑)

竹内さん:あと2行ないと納まり悪い、とか(笑)

-あるあるです(笑)

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