連載|建築って自由なんや 2/3 

17/03/25

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①きっかけは曽我部さん

②STUDIO MOVE 誕生秘話

③+MOVE

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>STUDIO MOVE はどのように誕生したのですか?

 

◎ナカオ

基本的にコンペが好きなので休みの日とかにアイディアコンペをサイトウくんと連名で出したら、2つほど通って。それで肩書きをど うしようかとなって、この際、2人のユニット名をつけようと。

 

◎サイトウ

頭文字を取って「NASA」とかもありましたよね(笑)

ある時、 ナカオさんが感動を与えるとか、心を動かすという意味で「move(ムー ブ)」もいいよねとLINEで提案しくれたことがあって、僕はそれを「モ ブ」と読み間違えて、路上パフォーマンスの「flash mob(フラッシュ モブ)」が好きだったこともあって、それいいね!と返したらその勘違いも含めていいね!となって、「MOVE と書いてモブと呼ぶ」に決まりました。

 

◎ナカオ

3年前の4月21日に STUDIO MOVE を結成し、僕が先に独立して2015年の4月21日にこの事務所を設立。その1年後に齋藤くんが独立しました。実は、サイトウくんの誕生日が5月21日で、僕の誕生日が1月21日なんです。後から詳しく調べたら、数字の持つ意味として「21」が最強だと(笑)サイトウくんが細木数子の占いに詳しくて、よくよく調べてみると二人の相性も良いことが判明しました(笑)

 

◎サイトウ

土星人プラスとマイナスは仕事上のパートナーとしては最高の相性なんですよ!

 

◎ナカオ

そいうところもあって、周りからは「天然なふたり」とか「考 えていることが突拍子もない」とかよく言われます…。

 

>2人と話していると、会話がどんどん折り重なって、気づいたらとんでもないところにジャンプして行くのが面白いですね。

 

◎ナカオ

確かに、否定から入ることはまずないですね。

離れていることもあってLINEで頻繁にやりとりするのですが、よく「関係な いけど」と言って突如、関係のない画像を送ったりします。

 

◎サイトウ

もちろん全く関係ないわけではなくて、どっかで紐付い ているんだと思いますが、メモ代わりの感じで思いついたら話の途中でもすぐに送ります。

 

◎ナカオ

たとえば、この椅子の写真も「関係ないけど」の一例なんですが、僕はこの座面や背もたれのところが透明な紐で編むようにできていて、それが面白いなと思って送ったのですが、サイトウくんは、 どうやらそれが網入りガラスに見えたみたいで「このガラスの質感いいよねー」と。で、それがまた面白いとなって最終的に網入りガラスでチェアをつくろうということになりました(笑)天然と言われる理由はひょっとするとそんなところにあるのかなと。

 

参照:designboom   image©takumi ota

 

◎サイトウ

急に割り込んできた全く関係のないアイディアが、気付いたら最後の会話と繋がっていて、よしそれでいこう!となることが僕たちの間ではよくありますね。

 

>創造性を誘発させるために、ちょっとした混沌を半ば無意識的に生み出しておられるのかもしれませんね。いや~このクリエイティブなキャッチボールは興味深いです!ちなみに STUDIO MOVE として の最初の仕事は?

 

◎ナカオ

一発目の仕事といえば、山口県にあるサンパークというショッピングモール内にある「La Vie en Rose」という100 坪の宝石と洋服を扱うショップデザインでした。

 

たまたまフェイスブックで知り合ったのですが、宇部の方で、宇部にスタバがないから呼び込む活動をされているのに興味を持って、というのも自分も宇部生まれで、学生時代はスタバでアルバイトをしていたので。「何かお手伝いできることがあれば言ってくださいね」とメッセージを送ったら、「一度会いましょう」と。それに合わせて確か MOVE の名刺も作ったはずです。結局、色々と交渉したけれどスタバは来てくれそうにないので、なら自分たちでカフェをつくろうとなって、その提案もしました。残念ながらそのカフェは実現には至らなかったのですが、でも僕たちのことを気に入ってくれて、別件でちょうどアパレルのお店をリニューアルしたいという相談があったようでその内装のデザインを僕たちに依頼いただきました。それが先ほどの100坪のお店です。

 

どこで何がどう繋がるか分からないから、人生は本当におもしろいなーと思います。

 

>いきなり、100 坪のショップデザインってこれまたなかなかレアな経験ですね。その他には?

 

◎サイトウ

最近のプロジェクトで「SWITCH BAR in Chayamachi」という大阪で誕生した新しいスタイルの BAR をデザインしました。80坪ぐらいのあるので BAR としてはかなり広いお店で、クライアントは中学の同級生で「トリックデザイン」という会社の代表をしています。

 

スイッチバーはスタンディングが基本で、ホールス タッフのことをスイッチャーと呼んでいて、人と人とをつなぐコンシェルジュのような役割も担っています。来店すると、スイッチャーが「今日はどんなつながりを?」と聞いてくるので、例えば、恋愛とか、仕事とか、趣味が同じとかリクエストすると、それに応じてお客さん同士を繋いでくれます。仲人みたいで日本人的だなという印象でした。海外であれば自分からコミュニケーションを持ちかけますが、日本人はシャイであるからこそ、おもてなしの文化が介在しているのだな~と改めて気付かされ、「新しい和」をコンセプトに海外のような BAR ではなく、日本的な空間に人が賑わっている情景を生み出したくて、障子や縁側などを取り込んだデザインをしました。同時に、新しい出会いが生まれる大人の遊び場でもあるので、コントラストをきかせ てクレイジーな雰囲気になるようにデザインしています。

 

◎ナカオ

その他にリノベーションもいくつかやっています。

この部屋もそうですし、先ほど見ていただいた「平尾のリノベ」というマンションの改修。その窓から見えていた「veritecoeur」という古いビルをショップとギャラリーに改修したものや「今宿のリノ ベ」、「青葉台の家」という戸建て住宅のリノベーションもやっています。

 

>ハイペースですね。設計の際に心掛けていることはありますか?

 

◎サイトウ

良い意味で相手の期待を裏切りたいですね。

スイッチバーの時もそうなんですが、フェイスブックで久々につながって、スイッチバーの件で相談にのってほしいとメッセージがあって、じゃひとまず大阪で飲もうやとなったんですね。中学生の時から将来一緒に仕事をやろうと語り合っていたけれど、向こうはそうは言っても 久々に会うわけだから最初は軽く話をするぐらいかな~と思って来たらしいのですが、こっちは CG とかバリバリ作り込んで行きました。それを見てびっくりしたらしく、「本気度が伝わった!」 と言ってくれて実現する運びになりました。せっかく一緒にやるのであれば相手の期待以上の提案をして驚かせたいです。

 

◎ナカオ

そういった意味では、僕は感動させたいですね。

学生時代、スタバで働いていたのですが、「サービスで人々の生活に潤いを与え感動させる」 といった第一前提があってそこに共感しています。 あと、いいなと思っていたのは、組織体系がピラミッドなんですよね。パートナー同士の関係はフラットでとても仲が良いのに、仕事としてはビラミッド。当時は細かく階層が刻まれていてどんど ん上に上がっていく仕組みになっていて、上がるにつれてできることや権限が増えていきます。一人一人が責任を持って考え動くところや、それぞれの立場から気付きを共有して改善して いくところがいいなと思います。なので、早くスタッフが欲しい!サイトウくんは、案外一人で黙々と仕事をするタイプなんですけど、僕は誰かと話しながらアイディアが生まれるタイプなんで(笑)

 

◎サイトウ

なので、今度、福岡事務所にアルバイトで一人来てくれることになっています(笑)

 

 

>>つづく ③+MOVE