スタジオモブ齋藤:今までやったことのないチャレンジな提案に対して、懸念点を注視する方もいらっしゃいますが、加藤さんや大山さんは「これだったら、この部分をスタンディングにしたらいいね」という風にプラスに転換して発想してくださったので、僕としても楽しんで取り組ませていただきました。
加藤さん:このスタンディングスペースも、図面でみたときは「これ大丈夫か?」と思ったけど(笑)実際に見てみたらやっぱり感じがいいので、ここで食べることに対しての気分が上がるというか、気持ちよくいれるなと。
-ここでサっと食べやすくなったとも思いますし、満席でも友達がいたらちょっと入れて!みたいな感じで行きやすくなったような気もします。バーカウンターのようにしつらえても面白そうですね。
加藤さん:僕ね、夢があるんですよ。
-え、何ですか?
加藤さん:BARとか、したいんですよ。
齋藤:おお、いいですね。
加藤さん:それでもし僕がBARをするなら、一人で来てほしいんです。おっさんと会話するBAR(笑)
-素敵じゃないですか(笑)
加藤さん:早期引退して、朝の掃除とか昼の誘導とか頑張るので、夜になったら人生経験豊富なおじさんが「どうしたん?」みたいな話を聞くBAR。僕が話を聞きたいだけなんですけど(笑)
齋藤:めっちゃいいじゃないですか(笑)後ろの柱に「BAR」って看板出して、ね。
加藤さん:実際は気持ち悪いと思うんですけど(笑)でも、学生の中には一人でいたいわけじゃないのに一人になっちゃっている子もいて、気持ち的には話かけたいんですよね。だから「お一人さま限定のBARです」って。お一人さま同士が来て、話しているうちに繋がったらいいなと思います。生協は、事業活動だけじゃなくて大学生協の学生委員会もありまして、4月には新入生同士が友達になるための新入生交流会を開催するんですけど、入学したタイミング以外でも新しい出会いと繋がりって、きっと学生も求めていると思うんですよね。そういう機会は4月以外にも提案していきたくて。
「出会いの場」とか言っちゃうとイカガワシイ感じがするから、他の言い方ないかな~と思いますが(笑)昼はワイワイやって、夜はイベントとかで、「この場で知り合えたから繋がったよね」みたいなきっかけをつくりたい。そういうなかで、僕が個人的にやりたいのが「お一人さま限定のおっさんと話すBAR」笑
齋藤:もう今その感じで雰囲気出てますよ。あと飲み物さえあれば、BARに見えてきました(笑)
加藤さん:17時くらいから営業してね。お酒つくったことないので、今から勉強します(笑)
齋藤:例えば場所を持たない料理人さんに来ていただいて、イベントやったりもできそうですね。
加藤さん:そうそう、それも思ってて。ビュッフェ並べて、スタンディングで交流してもらってね。
-映像を流してシアターのような会もできそうです!
齋藤:WBCとか一緒に観てね。スポーツバーもいいですよね。
加藤さん:今までのように席効率重視の考え方だったら、こういう企画のアイデアは出てこないですよね。空間が変わったから「それだったらこういうのできるんじゃない?」「やりたいよね」っていう発想が生まれるので、職員や学生たちも企画やりたいと思うんですよ。今までの生協食堂だったら「何かしたい」って思わなかったかもしれないけど、この空間みて、話をしてて、何かトリガーが入ってきたら「あれ、ここ借りてこんなことできるんじゃない?ちょっと聞いてみようか」みたいになってくれると、僕たちとしてもすごく嬉しいです。
-改めて、空間に込めた設計のコンセプトは?
齋藤:やっぱり空間が大きいのと、利用者さんが多いので、ぜったいに肘をつくじゃないですか。
加藤さん:なるほど(笑)
齋藤:それに耐えうるものをつくらないと、っていうのはまずありました。あと「華奢でカッコいい」というよりは、「大きなボリュームに対しての強さ」みたいなのを表現したくて。「強さ」というのは、これからみなさんが心機一転で立ち上がっていくときに「綺麗で繊細で素敵ですね」という食堂よりは「力強くていいですね!」みたいなパワフルさとスピード感がほしいなと。大きな空間に曲線があって、流れる動きみたいなのをデザインしました。ぐるぐる回遊できるところがこの場所のいいところですね。
-この柱もけっこう大きいじゃないですか。でも、いい存在感を放ってくれていますよね。
齋藤:そうそう、シンボリックですよね。
加藤さん:この柱は、十数年間ずっと邪魔だ邪魔だと言われつづけてきて、
齋藤:ようやく褒められました(笑)
加藤さん:価値になりましたね(笑)
-柱の前に立つと背景になってくれるので、絵になりますね。
加藤さん:おお、たしかにそうですね。柱が喜んでますよ。はじめて褒められていますから(笑)
編集後記
終始にこやかな加藤さんのユーモア溢れるお話に、笑いの絶えないインタビューとなりました。「いつかBARをやりたい」という加藤さんの夢の奥には学生さんを想う温かい気持ちが込められていて、やっぱり生協さんはいつもさりげなく学生さんをサポートされているんだなと改めて感じました。これからこの場所でどんな企画が生まれて、そして思い出が重なっていくのか、私たちも楽しみにしています!加藤さん、ありがとうございました。