スタジオモブはじめてのリノベーション案件は、2016年の「Renovation in Imajuku」。クライアントの青木さんは、中尾さんが学生時代にバイトしていたスタバの店長さん。そのときから「いつか自分が家をもつときは、あっきーにリノベしてもらう!」と、ずっと言ってくださっていたそうです。今回、青木さんご家族が東京へ引っ越しされることになり、家を次の方へ引き渡されるとのこと。改めて当時のことをお伺いしたいなと思い、引っ越し間近のご自宅へお邪魔させていただきました。
-「今宿」という場所を選ばれたのは、どういう経緯だったのですか?
青木さん:あっきー(スタジオモブ中尾)がまだ学生だったころから「いつか、あっきーが建築家になったときは絶対に設計してもらう」って、最初は冗談交じりだったんですけど、ずっと言ってて。
スタジオモブ中尾:そうでしたね。懐かしいです。
青木さん:だから家を買おうと思ったとき、リノベするつもりで中古物件を探していました。最初は、大濠周辺で探していたんですけど予算と間取りが合わなくて、どんどん西へずれていき、辿りついたのが今宿でした(笑)
-目の前が海なので、結果的にはよかったのではないですか?
青木さん:そうですね。でも最初は、海の近くはどうなのかな?っていうのはありました。潮風だし錆びるかな、とか。
中尾:物件はいくつか一緒に見に行きましたもんね。
青木さん:行ったよね。あ、あの山のふもとの「サンテラス」も見に行ったよ。最近あっきーがリノベしてた物件の。
中尾:あ、そうなんですか。
青木さん:ちょうど空いててね。
中尾:サンテラスのリノベは、今、2件目をやっているところなんです。
青木さん:あ、そうなんだ。
-この物件を見たときの印象はどうでしたか?
青木さん:最初の印象は、やっぱりこのロケーションですよね。海の近くということで心配していたこともあったけど、実際に中に入ってみると「おお、すげ~!」って。
中尾:僕も「ここにしましょう!」って言いましたもんね。
青木さん:そうそう。価格も間取りもよくて、駅からも近くて。あと奥さんが唐津出身なので地元にも帰りやすいし、場所としても一番いいかもということで、ここに決めました。あっきーも想像力描き立てられたし、
中尾:ここを登らせるというのは、そのときから決めていました(笑)
-改めて、どのようなコンセプトでこの場所をリノベされたのですか?
中尾:海に対してどう空間をつくるかというのを考えていて、キッチンがあって、リビングがあって、寝室までの軸をズバンと通すというのは、ここへ最初に来たときに「そうしましょう」と、青木さんとも話をしていました。その後、模型をつくってプレゼンさせていただいて。
-そのときのことは、覚えていらっしゃいますか?
青木さん:覚えてますよ~。まだ事務所で一人細々とやってたときやったもんね。
中尾:そうですそうです(笑)まだ、齋藤くんが合流する前で。
-そうか、そうですね。
青木さん:あとのときは、本当にまだ一人だったよね?
中尾:そうですね。その1年後に齋藤くんがジョインしました。この家は、当時のスタバチームが集結してできていますよね。カーテン、テーブル、スツール。
-あ、弓削くんがスツールを作ってましたっけ?
青木さん:そうそう!
-そのときの弓削くんのスタディ、見ていました!
青木さん:あ、ほんと?
-彼が検討しているときに「どう思う?」ってLINEきました(笑)
中尾:あははは(笑)
-スタバメンバーみんなでつくった家というのが、いいですね。
青木さん:同じ店舗で働いていたメンバーって、すごいよね。同世代でね。
中尾:しかも、若松で(福岡県北九州市)笑
-実際に住んでみて、いかがでしたか?
青木さん:2016年3月の完成だったんですけど、実は、2016年 1 月から単身赴任をしてて。
-そうだったんですか。
青木さん:トータルで4年間、大分と京都に単身赴任でした。なので、僕が住みはじめたのは2020年からです。
中尾:青木さんがここにいらっしゃったのは、3年ですかね。
青木さん:住んだ印象はとにかく静かで、完全オフになれる環境があります。最初のころは、朝起きたら「おお、海だ~」ってなってました。1年もすると、絶景にも慣れちゃうんですが(笑)向こうに糸島があって、その向こうに志賀島。手前が能古島です。
-玄関の壁に「STUDIO MOVE」というのが書かれていましたが…
中尾:僕のサインです(笑)でも、書いたことをすっかり忘れていました。サインが残っている物件はたぶん、ここだけです(笑)
青木さん:レアだね(笑)
-この物件は、すぐ売れたとお聞きました。
青木さん:すごかったね。掲載してすぐに反応があったみたいで。内覧いただいた方は具体的に検討されている方に絞らせてもらって10組だったけど、問合せは3倍くらいあったみたいです。
中尾:問い合わせが多くて、掲載をすぐに下げたんですよね。
青木さん:そうそう、10日で引き下げてもらって。
-すごいじゃないですか。
中尾:不動産の方に会う機会があったんですけど「あなたが中尾さんですか!」みたいな、噂の中尾さんになってました(笑)
-どんな方が内覧してくださったのですか?
青木さん:東京の方が2組いらして、あとは福岡在住の方でしたね。最終的に引き渡しをさせていただいた方は、この場所をセカンドハウス兼オフィスにされるとおっしゃってましたよ。
-なるほど。静かな場所だからゆっくり集中できそうで、よさそうですね。せっかくなので、最後に中尾さんへメッセージをお願いできますか?
青木さん:またつくってもらうね!思い出がたくさん詰まった家だし、できあがっていくプロセスも楽しかったし。
中尾:次はセカンドハウスですかね、またぜひつくりましょう!
編集後記
中尾さんが学生のときからなので、もう10年以上の時間が経っていると思いますが、今でも変わらずに見守ってくださっている青木さんの優しいまなざしが伝わってきました。「あっきーに設計してもらう!」という言葉を約束のままに終わらせず、実現された青木さんの大きな懐に、ただただ心温まる時間でした。青木さん、また福岡に戻ってこられたときには第2弾をぜひご一緒しましょう。