TSUKIGASE

広島市の本通りに位置する木造建物を継承した、人々のつながりを生む広島の新たなスポットとなる場所を計画しています。改装前の木造建物は築70年以上の歴史を持ち、広島の若者たちが集まる「PARCO」と隣接。一階には人々が集まり、食事や料理のお供になるおつまみやお菓子を持ち帰る場所として生まれ変わります。

店舗の面積は約10坪と小さなお店のため、商店街を歩いている際にちょっと立ち寄れるような雰囲気づくりをめざしました。元々の天井高が2.3mと低く、入り口にガラスの扉と窓がある状態でしたが、これらのガラスも店舗運営に邪魔になる可能性があると予想し、入口の扉やガラス、天井を全て撤去する計画としました。

解体作業を進めると築70年の建物には大きな損傷があり、躯体の歪みや雨漏りなどの修繕が必要だと判明。しかし、解体したことで建物を保存・修繕することができ、天井の高さを1メートル以上も上げられたため、開放感が生まれ、扉がないことで商店街の中に魅力的なポケットが誕生した。数十点に及ぶ商品棚は、道から中に入りたくなるような壁として計画。ロゴの形状を施した、おつまみの豆型の什器も空間の中心に回遊させるように設置しています。

完成したお店では、これまでとは異なる若い客層でにぎわい、その場所に新しい意味が生まれたと感じます。築70年の木造建物が再び息を吹き返し、建物の保存活用プロジェクトに関わることができたことは非常に嬉しいです。今後もこのお店の活躍が楽しみです。


場所|広島県広島市
用途|物販店舗
クライアント|株式会社月ヶ瀬
設計/監理|株式会社スタジオモブ
施工|武本
撮影|exp 塩谷 淳