2025|Hiroshima
θ THETA(シータ)
ヒロマツホールディングスが手がける「THE STAGE」の新たな拠点として構想された本計画は、広島・袋町公園に隣接するロケーションを活かし、都市と自然の境界を柔らかくつなぐ新しい空間体験を提案するものです。公園の風景を積極的に取り込み、都市の中に“ひらかれた余白”としての場を創出。建築は自己主張を抑え、極限まで要素を削ぎ落とすことで、そこに集う「人・もの・こと」が主役となるよう設計しています。
空間の重心には象徴的な照明装置を配置。光の軸が空間を貫き、“ランウェイ”としての概念的な舞台を成立させています。日常と非日常が溶け合うように設計された可変性のある構成により、この場は、多様な出来事や出会いを包み込む柔らかなプラットフォームとなっています。
光と緑が溶け合う場所
北面から射し込む自然光と、公園の緑豊かな風景が、内部空間に心地よい一体感をもたらします。広がりのある大開口部からは、公園の開放感がそのまま室内へと引き込まれ、街と人、人と人との関係をつなぐ“境界”として機能します。この場所の窓は、単なる開口部ではなく、都市の喧騒にふと立ち止まりたくなるような“気配”のある装置として設計されています。
立体的な誘引と視覚的演出
1階から2階へと導く階段は、自然な動線として人の視線と足を引きつけ、4階時代にはなかった来訪のきっかけを空間にもたらします。外観から店内の様子が垣間見えることで、何かが始まりそうな“予感”を生み出し、訪れる人々の興味を喚起します。
開放性と可変性を備えたショップゾーン
ショップエリアは、現状の3m天井を取り払い、スケルトン化された3.9mの天井高を活かして、広がりと抜け感のある空間に再構成。可動式什器やハンガーにより、展示や販売に応じた自由な空間演出が可能です。シーズンごとの特別展示やプロモーション、ポップアップイベントなどにも対応でき、すべてを片付ければ、空間全体を“ランウェイ”に見立てた演出も可能に。視覚的インパクトを活かし、SNSでの拡散を意識した仕掛けも取り入れています。
発信力を備えたスタジオ機能
空間内には撮影ブースを併設し、販売スペースと連動することで、商品やブランドの世界観をリアルタイムで発信できる環境を構築。撮影風景自体が来場者の興味を引き、完成したコンテンツはSNSを通じて、より広い層にブランドの魅力を伝播させる強力なメディアとなります。
“体験の舞台”としての新しい拠点
この場所は、ショップ、オフィス、スタジオが一体となった「体験型のステージ」。商品を“買う”だけでなく、“過ごす”“出会う”“発信する”という複層的な価値が交差する、新しい都市型のコミュニティハブです。
ここで生まれる体験が、地域の新たな魅力を発信し、人々の記憶に残る「物語の舞台」となることを目指しています。
都市と自然のエネルギーを取り込み、心地よさと発信力を両立させた空間——
“ここにしかない体験”を求めて、何度でも訪れたくなるような場所となることを、私たちは強く願っています。
2025|Hiroshima