マンション一室をリノベーションするプロジェクト。
およそ50m2の広さを持つRC造の建物に対して
どういった居住域を構築してゆくか。
マンションにおける住まいを設計する上で
意識的に操作していることとして、大きなワンルームの中に小さな居場所を散りばめることを考えた。
ここでは、最小限の水廻りスペース(コア)に対して
その廻りに少し角度をふった壁でぐるりと囲い込むような構成を考えた。
水平垂直で構成される、いわばマンションにおける経済的な間取りに対して軸をずらした壁によって、隙間空間を設けている。
その隙間がちょっとしたサンルームのようなベンチソファの空間になったりキッチンスペースとして空間を隔てたり、寝室兼クローゼットの機能を持つひとつの部屋になったり。
空間と、家具(造作)を等価に扱うことでTVボードやカウンター、デスク、といった機能までもが隙間空間によって生み出され、大きなワンルームの構成の中にも多様な居場所が生まれるように設計した。
ライフスタイルの変化が著しい現代社会の中、ある種住み手に委ねるような隙間空間の活用が、設計段階から一緒に考え提案しあいながらつくり出すことのできた、マンションリノベにおける新しい手法のひとつでもあると考える。
場所|福岡市中央区平尾
用途|住宅
設計・監理|株式会社スタジオモブ
施工|株式会社若杉建設
照明|株式会社盛光SCM
撮影|exp 塩谷 淳