赤坂の化石ギャラリーショップ

数億年の時を超えた化石と対話し
新たな物語を紡ぐまちのギャラリーショップ

化石という、何億年の時間を経て現在に至る我々人類の想像を超える存在に対して、空間がどのように応えることができるか。化石に思いを馳せる場として、時間軸の境界にいるような場づくりができないかと考えました。

敷地である福岡市赤坂のけやき通りは、繁華街から護国神社へと抜ける大通りでありながら人通りは緩やかで、ゆったりとした時間が流れています。そうした通りを行き交う人々がふと立ち止まり、数億年の時を超えた存在に出会う場所となるよう、通りの花壇やベンチの構成を引用して什器や植栽を配置。自然と店内へ足を踏み入れるような状況をつくりたいと考えました。

化石のディスプレイは、ベンチ程度の高さに抑え、化石それぞれの物語と丁寧に対話できるように計画しています。

店内は、既存のコンクリート躯体に沿うように、錆びさせた鉄板を外部の庇から有機的に繋げ、天井の高さに変化を与えながら奥へと導く構成としています。掘り下げられた床には、現場打ちコンクリートで什器を形成。研磨によって骨材を露出させ、まるでその場所で化石が掘り起こされたかのような表情を生み出しました。

博物館であって博物館にはない「買える」という要素が、ほんの少しカジュアルに化石との距離を近づける。遥か遠い存在であった化石と出会い、ここから新たな物語が紡がれていく、そんな空間を目指しました。


用途|ギャラリーショップ
設計者|株式会社スタジオモブ
施工者|株式会社若杉建設
金物|有限会社賀茂クラフト
照明|株式会社モデュレックス
左官|株式会社オフィスTAKAHATA、株式会社福一工業
植栽|株式会社relier
床面積|64.21㎡(19.4坪)
撮影|exp 塩谷淳