例えて言うなら、モブは家族である。
家族というより兄弟かもしれない。細かいことがきっちりできて計画をしっかり立てる、だけどこだわりも強い《長男》あっきー(中尾)さん。口数少ないけど静かなる感情を秘め、自分の世界をマイペースに進む《次男》大永くん。兄二人をよく観察し、観察しながら妄想を膨らませ自由に遊ぶ《末っ子》齋藤くん。を、見守る《母》わたし。
韓国の旅は、三兄弟による建築紀行です。
いつもどおりにバタバタと旅立っていった彼らの帰りを楽しみに待っていると、帰ってきた齋藤くんから「楽しかった!(満面の笑みが想像できます笑)」と言わんばかりの全力レポートが届きました。28枚びっしり!何よりのお土産です。観察力・洞察力・想像力豊かな《末っ子》ガイドで、1泊2日、韓国旅をご案内いたします。
毎度のことながら空の旅は楽しい
移り変わる風景。地球に住まわせてもらい少なくとも僕たちは平和に生きている。それを可能にしてくれているということを痛感させられる。
旅のはじまりは韓国インチョン空港
空港は世界の窓口。KFCもLEDバックチャンネル方式にてこだわっている。そういえば韓国は照明がとても面白く設計に取り入れられていることが多いことを思い出した。
僕らはまず、腹が減っては戦はできぬ!ということでなぜかいきなりKFCにて昼食をすることを選択。みな朝が早く朝食を食べてないこともあって必死にかぶりつく。どこでも食べれるものを食べたのだが、久しぶりに食べるとやっぱり美味しい。
まずはソウルへ出発
会話を楽しみながらも各々LINEにてプロジェクトのやりとりをし、約1時間半電車にゆられて到着。はじめに、韓国近代建築の巨匠であるキム・ソグンの建築を見ることにした。
彫刻的な閉じた外観から、徹底的にレンガにより作り上げた建築は威容であり、建物を回遊できるアプローチや階段も学ぶことが多かった。底知れぬパワーが宿る建築は、ただひたすら建築に向き合った結果なんだろうなー。
キム・ソグンについて調べると、僕たちが生まれた時期1986年にすでに亡くなっているようです。「レンガと自然素材をよく用い機能に捉われない豊かな空間作りを目指す」という彼の言葉のとおり、それが存分に発揮されていた。残念ながら中に入る事はできず、無理やりどこかから侵入できないかと色々扉を引いたりしてみたが、どこも閉ざされてた。後の同設計者である空間社屋(アラリオミュージアム・イン・スペース)に期待しながら、泣く泣く次に進むこととした。
同じエリアの東大門デザインプラザへ直行
二度目の訪問のためか、自分自身の感動よりも大永くんの反応を観察していた。初のザハ建築に、相変わらず言葉は少ないが感動していたように思う。
しかしながら改めてこの建築のパワーと吸引力はすごい。建物外部での、アートや音楽、また、行き交う若者や、モデルの撮影などあらゆる出来事が建物を取り巻いている環境に、すべてが表れていた。同時に、世界中の人種の異なる人々がその場を訪れていることからも、唯一無二の建築をやり切った結果、国の文化遺産となり、大きな資金を動かしている作品となっていることに想像がいく。
予算度返し。どこまでいっても家具の足元まで菱型。ここまで予算をかけられるクライアントも、許容できるおおらかさがあっていい。
ちょっと実は余談で
昼食に我らのおじきである島津さんに紹介してもらった、韓国冷麺屋での出来事をメモ。
よい建築を見る前には一杯しながら行くと、酔拳の如く見えてないところまで見ることができるので、昼食時に乾杯打合せを挟んでいる。
「挟んでいる」で思い出したが、ここでもクセがすごい。いや、クセのかたまりの相方中尾さんと大永くんは、その能力を存分に発揮していた。
僕は一口を食した、麺を噛んでも噛んでも噛み切れないということに気がついた。
韓国冷麺は食べるときに、一緒にハサミを渡してくれるので、さっそくハサミで程よく食べやすいサイズにザクザク切る。美味さを感じながら、はやく建築が見たい上、食べやすく美味しく食事をしたい気持ちもあり早々に完食。
ここから雲行きが怪しくなる。おい、ふたり一向にハサミ使わないじゃないか。
僕がハサミで麺を切る。その後、みなが取れる位置にハサミを置いても、まったくハサミで切ろうとしない二人。僕が食べ終わっても、半分以上残った状態で、一生噛み切れることのない、ゴムゴムの麺を口で挟みながら、アムアムと噛み続けている。
僕はしばらくスマホをいじったり、位置確認したり、、、うん、、、待ったよ、待った。
「いや、どんなけ頑ななん!」「ハサミで切ればいいじゃないですかー」と言っても、「ふっふっふっふー」と麺を挟みながら笑っているだけで、全然ハサミを使ってくれない。
しかも、いつも常習犯の中尾さんは分かる。なぜ大永も?おい大永やい!切れや!切ればいいやん!と。。。
多分2~30分は待ちぼうけ。手洗いにも行った。戻ってきたら、まだ残っている麺を前に
「ふぅー、腹いっぱい。食べる??」ニコッ
ニコっじゃねーよ!そらアムアムしつづけたら腹いっぱいになるわなー、もちろんいらないんですが、
齋藤「もう一回言いますけど、なんでハサミ使わないんですか?」
中尾「俺、ハサミは模型とかモノを切るときにしか使ったことないし、食べ物にはちょっと」
大永「僕も僕も!」
いや、今晩行こうと思ってるとこ、ギョプサルわい!ギョプサル丸かじりするんかい!!!と、全力でツッコミたい想いを胸にしまい、そそくさと会計を済ませ次の建築へ向かったのである。
つづく。