interview:physis〈後編〉

22/03/10

 

-インスタの言葉とかは、いつもどうやって降りてくるのですか?探す感じ?迎える感じ?それとも、待っている感じ?

physis|あいりちゃん:え、待っている感じ?かな…。
インスタの言葉は、書きたくなったときに一気に書いて出すみたいな感じです。その時に感じたことを出す、みたいな。

-言葉はしっくり出てきますか?

physis|あいりちゃん:あー、言葉はしっくり出てこないですね。自分が思ってることがこの文章に出てないなと思いつつも、でもそのときはそれ以上の言葉が出てこなくって、これが今だからと思って投稿しています(笑)写真の方がしっくりきます。言葉にするのがあんまり得意じゃなくて。

-そうなの!?

physis|あいりちゃん:誰かが作ったものについて、こう思うみたいなことを、言葉で伝えられるんですが、自分が「今」考えていることって、今まさにその最中だから説明するのが難しいです。洋服は、手にとったそのときはあんまりあれこれ考えてなくって、単純にきれいだなとか、いいなとか、そういう感覚です。そのあと、クローゼットの中を覗いてみたときに、自分と対峙するというか、このときの自分はこんなこと考えてたなとか、意外と自分この色すきなんだなとか、体形の変化とかコンプレックスがあるからこのシルエットが好きなのかとか。定番の型もあれば、全然ちがうブランドもあったり、自分の嫌なところを補ってくれるなかで、自分の皮膚と近いものだからこそ、自分も含めて考えつづけている感じです。

写真は、以前、フィルムで撮ってたときは36枚撮りを使っていました。いいなとかきれいだなとか思ったときにシャッターを切る。自分の心に余裕があるときはすごく撮ってるから現像のスパンが短いんですが、余裕がないときは、きれいと思える余裕もなくなってるから全く撮れなくて。だから、現像のスピードで自分の「今」の状態が分かる、一種のバロメーターでしたね。

-今もフィルムで撮りますか?

physis|あいりちゃん:今は、フィルムを使う機会が減ってます。

-デジタルでも撮るからという意味で、減ってる?

physis|あいりちゃん:それはありますね。
なぜ人は着るのか?とか考えはじめるととまらなくて。なぜピアスを開けだしたのか、とか。そういうことをもっと知りたい。なぜ、それをお客さんが選んだのか、とか。

-その「人」っていうのは、日本人とかじゃなくて、もっと世界とか、人類とか?

physis|あいりちゃん:人類です。人類全体も気になるし、身近な人も気になる。やっぱりどうしても、最初のはじめましてのときって、その人の家の中は見えないけど、服は着ています。必ずしも、それを厳選して選びましたってことではないと思うんですが、何かしら理由はある。例えば、洋服が一番のこだわりではなかったときに、他に大事にしているものが知りたくなるんです。なぜそれを選んだのか。ロゴ?デザイナーに共感したから?

逆に、作り手はどういうことを思ってその生地を選んで形にしているのか。伝え手は、どういうことを思って写真に撮ってビジュアルにして発信していくのか。それぞれに理由があって作られていくわけですが、そのストーリーを受け手である着る人たちが新しく組み替えてそれぞれの人生に存在していく過程で、どんなにストーリーが好きだったとしても、着れなかったら当てはまらなくなってしまいます。シルエットや色でそれが決まってしまうことがあると思うと、作り手から受け手に渡るまでって、難しい。それでもなぜ彼らは服を作りつづけるのか。

-知りたいんだろうね。

physis|あいりちゃん:知りたいです(笑)
自分自身が着るものだからこそ、それがしっくりきたときって「見つけた!」という感覚にもなるし、タイトなシルエットだったら気持ちも自然とピシっとなるし、裏起毛なゆるいシルエットだったら、ゆったりした気持ちでいられる。着る人の心にもつながっていけるからこそ、しっくりしたものと出会えたときって、すごく幸せなんです。

-「しっくり」をどれくらい経験したことがあるんですか?

physis|あいりちゃん:あー、しっくりはけっこう経験してるかもしれないですね。
このトップスを買ったときはけっこうしっくりきました。シンプルな形ではないけれど、コットンが2重になっているのでガーゼみたいな心地で、コットンがくっついている箇所だけが濃く染まっています。染めは気になっている事柄でもあるし、長く着られる普遍的なものはシンプルなデザインが多いけど、私にとってはちょっと退屈で、でも、それとも違う。

-退屈としっくりは、違う感覚ですか?馴染むからといってそれがずっとつづくと、退屈になってしまうもの?

physis|あいりちゃん:見たことがあって、経験したことがあるものは馴染みます。「しっくり」は、見たことないけどしっくりくるみたいな…。

-ようやく会えたね、やっと会えたねみたいな?

physis|あいりちゃん:そうですそうです!会ったことなかったけど、やっと会えたしっくり!みたいな感覚(笑)馴染みがあるものはちょっと退屈。でもしっくりくるものに出会えたら、トキメキがあります。

-そういうときって、身体が分っちゃうんでしょうね。

physis|あいりちゃん:ここが、トキメキと出会える場所になっていくといいなと思います。これからがわくわくするというか、買ったことのない色や見たことのないシルエットだけど、着てみたらしっくりくるって、予想外のできごとだったりしますよね。

-宇宙物理学者の佐治先生が「なつかしい未来」という言葉で表現していて、未来には会ったことがないけど、出会った瞬間になつかしい感じがする。そういう時間軸なんでしょうね。だから、あいりちゃんはいつもここではないどこかに居て、つねに未来に会いにいっているというか、そんな感覚を受けるのだと思いました。

physis|あいりちゃん:これからが楽しみになるみたいなのは、あるかもしれないです。こうしたら楽しくなるみたいなことをお客さんとひたすらずっと話しています。洋服の先にある幸せなこと。あー、だから私は「どこにいるの?」って聞かれると答えるのが難しいのかもしれない。

-うん、そうですよね。

physis|あいりちゃん:自分はどこにいるんだろうってなるんだろうな。

 

 

あいりちゃんと、二人でじっくり対話するのは今回がはじめてだったのですが、どこまでもどこまでも話がつづいていきそうな時間。何か答えのようなものを見つけようとしているのではなくて、秘密の宝探しのように、この先に何か楽しいことがあるのかもしれないというワクワクを、楽しんでいるように感じました。次回は、お酒を飲みながら、つづきについて語らいたいです。

 

 

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