複雑さの奥にたたずむ美学

22/06/09

スタジオモブ福岡事務所メンバーがいつもお世話になっている仲間内で、みんなから妹のように愛されている石田あやかさん。2019年にご結婚されて(改めましておめでとう~)今では旦那さん共々、モブ一同仲良くさせていただいています。そんな石田家から、ある日オファーが。

「僕たち、テーブルをデザインしたいです!」

さてさて。どんなテーブルが完成したのでしょうか。テーブル誕生秘話をお伺いしようと新婚夫婦の元に中尾と一緒にお邪魔させていただきました。

-あやかちゃんとモブのはじめましてって、いつでしたっけ?

-あやかさん:設計事務所CASEさんの5周年パーティで中尾さんにお会いしたのが最初だったと思います。

-そうか、あの時だったんですね。

-あやかさん:設計関係の仕事をしている父に誘われて姉と一緒に伺っていたのですが、たしかその時に父から中尾さんを紹介されて、その後日、モブ会にお邪魔させていただきました。

-映画の上映会ですね。はじめてのモブ会はどうでしたか?

-あやかさん:すごく楽しかったです。女子高女子大で育ってきたので遊ぶといってもカフェとかが多くて、社会人になってからも居酒屋で飲む!みたいな機会があまりなかったんです。だけど、モブ会にはいろんな人が来られていて、賑やかというかなんというか・・・どんちゃん騒ぎ(笑)なんだこれは!という驚きでしたが「これ、青春かも!」って思えるくらに楽しかったのを覚えています。それが私のはじめてのモブ会でした(笑)

2017年|上映会

-あのときは、みんなよく集まっていましたよね。

-あやかさん:そうですね~。そこから少しずつみなさんと仲良くなっていって、プライベートでも遊ぶ仲間が増えていきました。当時、私は営業の仕事をしていたのですが、デザインに興味が沸いてきはじめていて、専門学校でデザインの勉強を学びはじめるかどうか迷っていたんです。そのときにモブ会で仲良くなった友達からウェブ制作のベンチャー企業を紹介してもらって転職したのをきっかけに、いろんなご縁が繋がって直也さん(旦那さん)と出会うことになりました。

-直也さんとは、そのときに知り合ったんですね。

-あやかさん:実は、私の初デザインは直也さんの事務所案件なんですが、そのときデザインしたロゴなどは今でも現役で活躍してくれています。

-それは嬉しいですね。

-あやかさん:モブに出会ってからデザインの道へ進みはじめて、みんなと居るのも楽しくて、人生満喫しちゃってたから、結婚するのは30歳くらいかな~と思ってたんですが、ご縁があって直也さんと結婚することになりました。モブ会の人たちには、たくさん刺激をいただいてデザインの道を見つけることができたので、あのとき出会ったみんなには本当に感謝しています。社会性もたくさん教わりました(笑)結婚式のときには、みんなにありがとうの手紙を書いて贈らせていただいたんです。

-あやかちゃんにとって、大切な出会いになっていたのですね。

-あやかさん:はい。それからも夫婦共々仲良くさせてもらっています。最近は、どうやら私よりも直也さんの方が中尾さんと連絡をとって仲良くなっているぞ?と思ってたら、彼自身もインテリアに興味を持ちはじめたようで、今回、新たにテーブルをオリジナルでつくることになっていました(笑)

-なんと。テーブル制作は、直也さん発信だったのですか・・・

-どうしてテーブルをデザインしようと思ったのですか?

-直也さん:もともと、ソファにローテーブルを合わせて食事をしていました。だけど、やはりバランスが悪くて、とはいえ床に座っての食事も嫌だし、一般的なダイニングテーブルの高さだとテレビが見づらくなってしまうし…。ソファに合わせてほどよい高さのテーブルを探していたのですが、なかなか見つからなくて。その話を中尾さんにしたところ「テーブル作ったらいいじゃん」と言われて、僕としては自分で作るという発想がなかったから「え、テーブルって作れるの⁉」という感じだったのですが、自分で作れるんだったら”いい感じの高さ”を求めて作ってみようと、そんなはじまりでした。

-どんなデザインオーダーをされたのですか?

-直也さん:せっかく作るのであればかっこいいものに仕上げたいというのはあって、銀色でムラのある質感がすきなこと、テーブルの脚は市販では売っていないもの、幾何学的なアシンメトリーで個性のあるデザインを希望していることを中尾さんに伝えたところ、参考画像をたくさん見せていただいて、その中から好みのイメージを伝えながら、サンプルを選びながら、進めていきました。

-スタジオモブ中尾(以下、中尾):好みのイメージを聞いていると、おそらくデザインの「複雑さ」に魅力を感じているような印象を受けました。なので、テーブルの4本脚をいかに複雑にしていくかをポイントにデザイン。普段は膨大な要件を削いでいくことが僕の仕事なんですが、逆に「いかに複雑するか」と考える場合にはルールが必要になるなと。波形とか上下のリズムとか、黄金比も取り入れながら、線をたくさん入れるなら細い線があってもいいんじゃないか、とか。今回は、構造設計の視点からも検討していますので、見た目のバランスだけでなく構造的にも成立しているデザインになっています。

-出来上がりの感想は、いかがですか?

-直也さん:めちゃくちゃかっこいいです!

-おお!!!

-直也さん:天板についてはサンプルの印象と全然ちがっていたのですが、それがよかったです。亜鉛のメッキドブツケでしたっけ?この感じがいいですよね。色むらの感じがすごく気に入ってて、このシリーズでプロダクトを増やしていきたいです。理想は、床もこれだったら・・・

-あやかさん:気に入りすぎだよ(笑)

-直也さん:いやぁ、かっこいいすよねぇ。

-直也さん:あと実は、脚にアジャスター付けてもらっているんです。

-え、これ高さ調節ができるんですか?

-直也さん:はい(笑)今は、ソファが中心のライフスタイルですが、将来的に引っ越しする場合にはダイニングテーブルとして使うかもしれないので、付属パーツで高さが上げられるようになっているんです。

-おおおおお!!!

-直也さん:かっこいいでしょ(笑)

-はい(笑)

-あやかさん:直也さん、今回のデザインがすごく気に入ったみたいで「もしかしたら、デザイナーになれるわ」と自信もっちゃって(笑)中尾さんと連名でデザインユニット打ち出していこうかと話していましたよ。

-いいですね(笑)第2弾の構想があるんですか?

-直也さん:椅子、つくってみたいですね。

-もうすでにアイデアがあったりして?

-直也さん:あるんですよ(笑)椅子も基本的には、超かっこよくて目立つデザインがいいですね。

-ちなみに、テーブルの名前って付けられているんでしょうか?

-直也さん:うーん、亜鉛1号。

-中尾:それはちょっとダサくない?笑

ローマ字ですか?

-直也さん:ひらがなで。あえんテーブル。

-中尾:住宅なんかは、イニシャルをとって「〇邸」とかよくあるよね。

-直也さん:Iテーブルに決まりです!笑

とっても仲良しな石田夫婦。あやかちゃんの変わらない笑顔と、直也さんのデザイナー力溢れる素敵なお住まいで、楽しいひと時をすごさせていただきました。モブ会からのご縁がつながって、こうしてデザイン談義をご一緒できるとは、あの頃の私たちは想像すらしていなかったと思いますが、ひきつづきこれからもモブ一同、仲良くしていただけたらと思います。第2弾の椅子の完成も楽しみにしています!