Interview:fog 

22/02/05

 

fog。霧という意味をもつこのやわらかい文字に、私の脳裏には水彩の深い緑が溶け出した。風景と空気が互いに潜り込んでいくような。調香師・浩花さんの印象は、そのままfogのイメージです。どこか儚げで、ぼんやりとした霧の向こうに佇むかんじ。

2021年10月にOIOI博多で開催した広島のインテリアトイメーカー「Sukima.」さんとのコラボ企画「動きの隙間」pop up store にて、モブオリジナル商品として制作したモビールに香りを調合いただきました。

会期中は、自分のすきな香りが調香できる「香りのワークショップ」も開催。自分の空間にすきな香りが一緒にいてくれるのってなんかいいなと思いまして、私も調香を体験しました。自分のすきな香りってどんな存在なんだろう、と、はじめての調香にわくわく。

 

 

fog

調香師のいるブランド。
霧のように柔らかく、肌やお部屋に寄り添う香り。
100種類以上の精油を用い
オーダーメイドでひとつひとつ調香いたします。
公式インスタグラム https://www.instagram.com/fog___perfume/

 

fog|浩花さん:香りの元になるのがこの精油です。ものによって精油が採れる方法は違うのですが、同じ方法で抽出したとしても時々で香りが変わるので「均一な香り」として揃えるのがむずかしいんです。でも、香りが変わるというのも、なんだかおもしろいですよね。

-香りって生きているんですね。

fog|浩花さん:そうなんです。
今、いくつか香りを選んでいただきましたが、いちばん香らせたいものってどれですか?

-うーん、このあたり(柑橘系)かなと思うのですが…

fog|浩花さん:香りがパッとくるものがメインにあるといいので、今回はベルガモットにしましょうか。そこに、レモンだと同じ柑橘系になるから…ゼラニウムを重ねてみます。

-はい。

fog|浩花さん:今、香りの重さでいうと上の方に乗っていて、フランキンセンスとか、その辺りを入れると重みが出てくると思います。

-香りには「重さ」があるんですね。表現がおもしろいです。

fog|浩花さん:ちなみに、フランキンセンスはモブさんオリジナル香りでも使っているので、スタッフの方がこれを見つけてくださったのには縁を感じちゃいました。

うんうん。ちょっと、これも重ねて香ってみてください。

-(重ねて香ってみる…。またいい表現だな)おお。

fog|浩花さん:ちょっとスパイスが入りましたね。う~ん、いいですね~。

-いいですね…

fog|浩花さん:すきなものって色んなところに行かないみたいで、ひとりの人が選ぶとまとまることが多いんです。調香していると、自分と違う脳ミソが選んだ香りに出会えるので、新鮮でいつも刺激をもらいます。

-調香されるときの浩花さんの頭の中はどうなっているんですか?音楽つくみたいな感覚でしょうか?

fog|浩花さん:ものによって違うかもしれないですが、色で表したいものもあるし、重さで表したいもあるし…、うーん。香りって目に見えないので、その表現を探しているような気がします。

-モブの香りはどんな感じでつくっていかれたのですか?

fog|浩花さん:まずざっくりとイメージを伺って中尾さんにサンプルを送ったのですが、そのときに「めっちゃいい」という表現はされなくて、色々考えてかみ砕いて、それから出てきたような言葉だったんです。だけど、直観的にいいねとなるものにしたくて、すぐに事務所へ伺いました。一緒に香りを重ねていくなかで最終的にもう少し甘さがほしいというところまでまとまって、そこからだんだんとイメージへ近づけていった感じでしたね。

-香りの印象として、樹木よりは鉱物とか岩っぽいなと感じたのですが「硬さ」のある香り?というのでしょうか。

fog|浩花さん:木の香りって、例えばヒノキっぽいとか、連想しやすい香りなのでイメージが先にやっていくると思うんですよね。

-あー、たしかに。

fog|浩花さん:だけど、岩って元々香りがない。

-あれ、どうして「岩っぽい」って思ったんだろう…

fog|浩花さん:フランキンセンスはスパイシーさとカラッとした感覚、ちょっと冷たい感覚を受けますよね。

-たしかに。香りに「温度」があるという感覚がまた不思議です。

fog|浩花さん:そうですよね。でも、なんとなく分かりますよねカラっとしてる香りは冷たく感じるのは確かなのですが、でも何で?ってなると何でだろう…。

-香りにもスピード?みたいなものがあるのでしょうか。

fog|浩花さん:うーん。例えば、香ったときに角があるかどうか、丸みがあるかどうか。そういう感覚はキャッチできます。

-温度を持たないはずなのに、香りと温度がつながるのが面白いなと思う反面、わたしたちは、いったい何を見ているんだろう?とも思います。実は、何も見ていなかったりして(笑)

fog|浩花さん:もともとそこがベースで、言葉はあとから付いてくるものでもありますよね。

-表現したい感覚が言葉に当てはまらないとき、そのときは探しているのですか?

fog|浩花さん:探しますね。香水の成分を見て、香りと言葉をつなげてみたりとか。

ー記憶というか、知っている香りは受け入れやすいのかなとも思います。

fog|浩花さん:それはあるかもしれないですね。知っている香りは選ばれやすいですし、すでに身近な存在になっているのかもしれないです。

 

浩花さんとのお話は、眠っていた感性にスイッチを入れてもらった感覚でした。「香り」には触れることはできないけれど、確かに存在しているものとの対話に参加させてもらえた体験。浩花さんの表現一つひとつが魅力的で、はじめて聞く言葉だったけど「この感覚、知ってるぞ」という、久しぶりの友人に再会できたような。

今回、調香していただいた「わたしの香り」と「スタジオモブの香り」それぞれ、浩花さんから香りの言葉を届けていただきました。

どんな香りを想像しますか?

 

「わたしの香り」

はじめはりんごのようにベルガモットとレモンが軽やかに香る。
さわやかな香りの流れを経て、イランイランの落ち着いた甘さと静かな華やかさが際立ち、引き立てるようにフランキンセンスがやってきたら、ベースの香りが完成です。

「スタジオモブの香り」

フランキンセンスのカラリとした
スパイシーな香りと
トンカビーンズの柔らかく興味深い香り、
そして追いかけるようにアンブレットシードと
ベンゾインが優しく包み込み
パウダリーでほんのり甘い心落ち着く香りが漂います。