クライアント|一般社団法人まなびのみなと
内容|高校生へ本を贈る
企画|今田雅(株式会社nu./よこげい実行委員会 /ピリオドをはじめるにはどうしたらいいんだろう)・今田順(ブックキュレーター/まちづくりプランナー)・スタジオモブ
撮影|岸田桜波
Special Thanks|BOOK PARK CLUB
◉高校生マイプロジェクトアワード広島県Summit
https://myprojects.jp/award/hiroshima/
◉高校生100人へ、本を贈る 〜誰もがセイトで、誰もがセンセイ〜(クラウドファンディング)
https://for-good.net/project/1001408
学びの祭典「高校生マイプロジェクトアワード」
一年に一度、高校生が自ら立ち上げたプロジェクトを発表する通称“マイプロ”の祭典に、2024年度の広島県Summitサポーター&「本を贈る」企画チームとして参加させていただきました。
マイプロとは、高校生の「マイ(My)」を起点とした社会へのアクションです。自分自身の実現したいこと/ 変えたいことをテーマにプロジェクトを立ち上げ、正解のない問題に向き合い、実際にアクションすることを通して学びを深めていきます。
県内各地から集結した高校生たちの10分間プレゼンに込められていたのは、彼ら・彼女らの「届けたい」「届いてほしい」「どうか聞いて」という切実な胸の声。
発表者も観覧者も言葉を越えた対話に、サポーターとして何を伝えられるか、伝えられるのか、私たち自身も瞬発力が試されているような清らかな緊張感がありました。高校生から送られるこちらへの眼差しが真っすぐだから、嘘はつけない。綺麗言も求められてない。
緊張していたのはおそらく私たちの方で、自分が経験したこと、身体の中にある言葉でしか応えられず、オトナと名乗るからにはその生き方が問われていることを思い知ったのでした。
人生はきっと、いつ・どこで・だれと出会い・どんな言葉を掛け合うのかで形づくられています。
意を以って進んだ先にも、意に反して進まざるを得なかった先にも、ただなんとなく進んだ先にも、幸も不幸も入り交ざった世界があるだけですが、たらればの悲しみや後悔がいつか希望に生まれ変われるように、出会い直せるように、過去を救済する今を私たちは出会いから見つけている。いけるんだ。そしてそれは現実で起こりえると再認識する一日でした。(いい日だった~)
もう一つ。
今回、広島県Summitの主催である一般社団法人まなびのみなと|勝瀬さんの発案で、マイプロに参加した高校生に「本を贈る」企画を仕立てました。こちらは、今田雅さん、今田順くんとご一緒に。
発表を終え、安堵のなかに込み上げてくる達成感・悔しさ・まもなくの別れを予感した空気に包まれた閉会式でオトナから高校生へ本を贈りました。
なぜ、本を贈るのか。
かつて、勝瀬さんが担任の先生から「贈ってもらった本」の体験からはじまっています。
私が本を読むようになったのは、小学校5年生の頃から。当時の担任の先生は、朝の会で毎日本を朗読してくれる先生でした。学期ごとに先生が選ぶ本は、最後のページまで読まれることはありません。「続きが気になったら、いつか読んでみてください。」その言葉で、毎学期の最後の朝の会が終わるのでした。
5年生の最後の日。その先生は、クラス全員に本を贈ってくれました。おそらく自腹だっただろうと思います。当時20人しかいなかったクラス全員に、20冊の本を持ってきてくれました。(私が手に取ったのは、『ハックルベリー・フィンの冒険』でした)
20歳になったある日。ふとその先生のことを思い出すきっかけがあり、実家の本棚に置いてあったその本を手に取りました。何を伝えたかったんだろう?なぜこの本を贈ってくれたんだろう?と。先生がその本に込めた想いを、5年生の最後の日から10年ちかく経ったその日に初めて受け取ったのだと思います。
あのとき実は贈ってくれていたんだと気づくのは、おおかた時が経ってからです。母の言葉、父の言葉、先生の言葉。この日、私たちオトナから贈ったものは1冊の本ですが、そこに記された言葉がまたいつかどこかで、今日伝えられなかったことを届けてくれたらいいなと願いを込めて。
今の自分にピンときた直感とセレンディピティを楽しんでほしいという企画チームの思いから、オトナたちが選んだ本にちょっとした仕掛けをほどこしました。
本に巻かれた1枚の紙には選書人さんが届けたい本の一節が記され、読んでほしいページに栞を挟んでいます。
一冊全てを読んでも読まなくてもいい。今日の、今この瞬間の自分が見つけた、本との出会い、言葉との出会いを大切にしてほしい。
勝瀬さんと企画チームが出会えたことも、1冊の本が繋いでくれた縁で、もしかするとそれは円で、そこには広島県Summitの開会式ではじまりの挨拶をしてくださった谷村先生が教えてくれた本『世界は贈与でできている』の存在も大きい。この話もいつかどこかで。
勝瀬さん、雅さん、順くん。
企画をご一緒できてよかったです。
素敵な時間をありがとうございました。