番外編|インプレスト天神オークタワー  

21/02/26

みなさんこんにちは。
只今、内覧&WEB特設ページ公開中のインプレスト天神オークタワー。
福岡天神エリアに建つ新築マンションの一室を設計からインテリアまでトータルでプロデュースさせていただいたプロジェクトですが、こちらに関するお問い合わせをちょこちょこいただいており(ありがとうございます^^)インテリアも気になる!ということで、今回は公式サイト未公開話を番外編にてお届けしたいと思います。

◎インプレスト天神オークタワー公式サイト
 https://i-tenjin.com/
◎プロジェクト詳細はこちら

 https://stmove.com/project/imprest/

今回のインテリアはAhat(アハト)さんにチームとして参加いただき、セレクトいただいています。主張しすぎない「ちょうどよい心地よさ」をキーワードに、絶妙なバランスでまとめてくださいました。見どころ満載につき途中脱線するかもしれませんが、よかったらどうぞ最後までお付き合いくださいませ。

それでは、番外編スタート!

未来の暮らしを構築する

玄関を入ると右手にすーっと気持ちよく視界が抜け、この住戸の重心である主役の土間が広がります。撮影がちょうど午前中だったかな、やわらかな自然光がよい感じ。奥から覗く植物がおはよう~、と言ってるみたい。可愛いですね。

そのまま真っすぐ進むと、Desk/Bed Room。
ここには、キングサイズのベットとデスクが設えられています。
そして居ました!ロープチェア!Artekの新作として昨年2020年にストックホルムファニチャーフェアで発表されてからずっと気になっていた椅子です。一瞬、あれ?Vitraの新作かな?と思うほど、Artekらしからぬ印象ですが、よくよく見てみると、まさにArt&Technology。ロープが持つ形状の自由さと、スチールの構造体としての強さ、そして積層合板の平面的な柔らかさ、それぞれがもつ素材を統合させて新たな美を生み出していました。軽やかな形態も印象的です。

さっそく余談でアアルトについて

41 アームチェア パイミオ

Artekが創業したのは、1935年。その3年前にパイミオチェアが結核療養所サナトリウム(1933年 Alvar Aalto)のためにデザインされています。

1930年頃なので…バウハウス全盛期。デザイナーは鋼管椅子に夢中だったころです。もちろんアアルトも鋼管で椅子をデザインしていたようですが、フィンランドが独立して間もない頃だったから「国民に受け入れてもらいやすい家具」として、彼は鋼管でなく木材を選び、さらに自生するバーチ材を使って「無垢材を曲げる」という、後のLレッグに辿りつきました。でも、当時30代半ば働き盛りなので(今の私たちくらいだ)そりゃきっと鋼管で何か作りたかったと思うのです。でもそこを、ぐぐっとこらえて木材で家具を作ったアアルト…。なんて素敵なんだ。

そして時代は流れ、ブルレック兄弟が現代の技術と新しい感性を持って「ロープチェア」を生み出しました。Artekから発表したことにすごく意味があるような気がしていて、これをアアルトに伝えられたら「おお!なんとArtekらしい椅子ではないか」って、どんなに喜んでくれるかな~。妄想は広がります。

と、序盤で盛り上がってしまいましたが、本題はここから(笑)
メインのキッチンへ戻りましょう。

人を迎える家のおへそ

暮らしの真ん中、家のおへそになる空間が、必ずしもリビングでなくてもいいのでは?という問いをコンセプトにしています。キッチンからおいしい匂いが漂ってくれば自然と人が集まってくるし、友人が訪ねてくれば珈琲でも淹れましょうかという行為は、作法こそ変わっても、おもてなしの心はずっと変わらず在りつづけるのではないかと。

そして、案外こういう場所は女性よりも男性の方が似合いそう。ビール片手にカレーを仕込みながらメールチェックに勤しむ夕方16時(…みたいな。)キッチンカウンターにスツールが置いてありますが、こちらはMAGIS|Sequoia(セコイア)というスツール。これ、本当に座りやすいんです。足がしっかり置けるのがポイントで、佇まいもキレイだからとってもオススメ。

デザイナーはノルウェー出身のデザインユニットANDERSSEN & VOLL。 森林をコンセプトに樹幹から別れる枝の分岐をイメージしているそうです。カラーは全6色。マットな質感◎、高さ2サイズです。

私が気になったもののひとつが、こちらのクッキングポット。
2016年に有田焼創業400年の節目にスタートしたプロジェクト「2016/」のキッチンシリーズです。有田伝統の技と新しい感性が融合し、普遍的でシンプルなデザインが魅力的。あー、そういう意味では「Art&Technology」と通づるところがあるのかもしれない。
直火やオーブン、電子レンジも使用可能とういうことで、現代の暮らしにも適応していて、シュっとしているけど優しいデザインです。

カウンター下の取手にもご注目。モブオリジナルデザインです。
スチールを採用していますので経年と共に手に馴染み、素材の変化も楽しんでいただけます。ちょっと布巾をかけたり、ミトンをかけるフックとしても役立ちそう。

あと実は、カウンター外側に隠し扉がありまして。書類やパソコン周りのものをさっと収納できるスペースがあるんです。ひっそり隠れていますので現地で探してみてくださいね。

ハルカの光ならぬ…

この艶やかな光は、FOSCARINI|Satellightシリーズ。
まん丸の光源だけでも十分よさそうですが、ガラスのシェードがあることによって光をさりげなく誘導し、シェード下へ集めています。光が集まり、フルーツボールがほんのり明るくなってますね。吹きガラスなので不規則な揺らぎを眺めるだけでもお酒がすすみそう(笑)カウンターの角に光が落ちるよう設計されていますので、相手と適度に向かい合いながら会話が楽しめます。夕暮れ時の光もキレイだし、真っ暗の中に浮かぶ光もまた美しい。

こちらからもあっちからの眺めもよし。キッチンの中からも素敵だろうな~。奥のフロアライトはFLOS|GLO BALL。360°の拡散光ですが、ちょうど梁下にいるので思いがけない陰影が梁を彫刻作品にしていました。梁下でなければもっとやわらかく照らしてくれるので、光の模様替えもぜひ♪

みたいな話を、きっとハルカは(最近ハマっているNHKドラマ「ハルカの光」の主人公です)してくれそう。初回はアアルトのゴールデンベルだったという、何か運命を感じます。

寝室にも同じくSatellightテーブルランプを置いていまして、こちらは机上面に光が直に集まるためコントラストが一層キレイです。ちなみに、私はテーブルランプの方がすき派。調光もできるので、その日の気分で心地よい光を探してみてください。


ちょっと籠りたいときは

だいぶ長いツアーになってきましたね。こちらで最後です。
ここは、ウォークインクローゼットとして用意されている場所。
あえて扉を設けずにオープンにしていますので、お気に入りの洋服を買ってきた夜はディスプレイをしてみたり、デート前に何着ようかな~のコーナーとかも楽しそう(笑)

そしてとっておきの楽しみ方は、

ここにラウンジチェアを持ち込んで、ひっそり籠る。
いやーこれは絶対に落ち着くはず。しかも、ちゃんとコンセントもあるから音楽も聴けるし、照明もパソコンも持ち込めるし、腰壁に本棚も作れそう。

ラウンジチェアと書いて、ラウンジチェアをひとつ紹介してなかったことに気づきました…

椅子の後ろ姿がすきなので、あえてのこのショットをカメラマン塩谷さんに撮影いただきました。カリモクの新しいレーベル「ケーススタディ」から発表されています。1940年代にアメリカで実施されていた「ケーススタディハウス」の実験プログラムからインスピレーションを受けて名づけられたそうです。椅子のデザインは、サファリチェアのコンセプトに近いのかな…と調べてみましたら、なんと正解!コペンハーゲンを拠点にするNORM ARCHITECTSが手掛けたということで、現代にもコーア・クリントの教えが引き継がれているんだなぁと、歴史の繋がりをしみじみと感じたのでした。やはり家具は面白いですね。ハマると中毒性が高いので要注意です。

ちょうどいい心地よさ

完成した空間を体験して感じたことは、ここにはちょうどよい心地よさがある。空間のコンセプトなので、それはそうだと言っていまえばそれまでなのですが、今回改めてじっくり眺めてみると、それぞれが持つモノたちのDNAみたいなのが引き寄せられたように繋がっていて、それらが集まった場所だと振り返りました。国や時代を超えても、人が「心地よい」と感じる根っこはたぶん一緒で、その感覚を共有しながらこの場所に集い、親しい仲間でワイワイできる暮らしっていいなと思ったのでした。

内覧をご希望の方は、公式サイトよりご予約いただけます。
ぜひお気軽にお問い合わせください。


◎インプレスト天神オークタワー公式サイト
 https://i-tenjin.com/