このシリーズをやってて面白いなと思うのは、聞いてみないと分からないことが多くって、相手の人物像をこちらで勝手に作り上げていたことに毎回気づかされるし驚かされるし、その反動で興味がどんどん沸いては思わぬ方へ話が飛び出して、私はいつも彼・彼女らの何を見ていたんだろうと体内をかき回されます。
興奮したまま一気にぶつけたい欲がありながらも、とりあえず書き出す前に話を寝かせ、ほどよく忘れた頃にパソコンに向かってみると、書こうと思ってた内容とは違う結末になってたりして、それもまた面白いなと超個人的ですが思ってます。(何の話やねん…)
それにしても遅くなってごめんね。
モバーズことスタジオモブの仲間たちに、各々すきなものをインタビューするシリーズ。第6回目は、学生社員という名のもとで私たちをサポートしてくれている建築学科の大学院生、成吉さんです。
てっきり建築の話をしてくれるのかと思いきや、期待を裏切らない裏切られ方(笑)
「おすすめは細野さんです。現代のスピード感ある音楽も聞いたりするんですが、結局はこのリズム感に心が落ち着きます」
1970年代前半に活動していたバンド〈はっぴいえんど〉細野晴臣さんの曲は、彼女にとって物心ついたころから身近な存在。音源はもっぱらレコード。レコード好きなお父さんの影響で成吉家のBGMは70年代カントリーミュージックだったようで、ですがそれはリビングで流れるのではなく(あまりのコレクションの多さにリビングへの流出は禁止されているらしい笑)お父さんの書斎でただ黙々と聞いているZ世代な末っ子なのでした。
「小学生のときに一番すきだったのは平松愛理さんの『部屋とYシャツと私』です。(渋い!)90年代の曲で、これは父が聞いてたってわけではないのでどこから見つけてきたかは覚えてないんですが、ハマってました。子どもが聞くような童謡もレコードで聞くことが日常にあったので、音の感覚や耳触りみたいな体験が今の好みにつながっているのかもしれません」
レコードに針が落ちる瞬間のプツプツとした音。デジタルのようにボタンを押せばはじまるわけでもなく、緊張した面持ちで針に触れる人の息遣いや気配も乗っかって、そこに佇む当事者たちの振動が音と鳴り、新たな振動を奏でる。耳に触るというのはそういうことなのか。
「音楽を聞くというよりも、レコードに触れるって方が距離感としては近いのかな?」
「うんうん、そうかもしれないですね」
「細野さんの曲は作業中とかも聞くの?iPhoneとかで」
「聞いちゃいますね」
「レコードだったら、なおよしって感じ?」
「そうですね笑」
「音が違う?」
「うーん」
「感触がすき?」
「感触…。針を落とす瞬間がすきで、プツプツ音とか。音楽をはじめる行為もすきだし、一曲を大事に感じられるというか」
「いいね~。五感で聞いてるんだろうね。聞くっていう動詞でもないのかもしれないけど…」
みなさんはどんな風に音楽を聞いていますか?