一日中眺めていても見飽きることのない海の表情は、でもどことなく素の自分を見透かしているようで、夕陽のせいじゃないと誰に言いわけするでもなく、赤く染まる世界にひとり対峙する。
彼女を見ていたらそんなことが思い浮かんだけど、もしかすると(しなくても)わたし自身なのかもしれないですね。
2018年、福岡県糸島市に「#ジハングン」なるスポットができて気づけば4年。駐車場という枠を超えた新たな居場所としてみなさまに愛されているようです。糸島へせっかくドライブにきたのだから、いつもとは違う特別な時間を思い出として残しておきたい。もちろん写真もだけど、そのときに感じた心の表情だってどこかに記しておきたいものです。
染まりたくなる色たちが、夏の終わりを告げています。そろそろ秋ですね。
#ジハングン
海辺に突如現れる駐車場。車を停めるためのスペースを考えるにあたって、ひとつひとつの要素をオブジェのように捉え、広大な敷地に点在させることで海辺という大きな空間に、目には見えない美術館のような場所を浮かび上がらせる事を考えた。
この場所の進入口には、まるでゲーム感覚でゲートをくぐるように、その世界観への出入口をあえてカタカナ表記でデザインし、サイン計画として統一されたバーチャル感溢れるフォントや、前面に広がる青々とした空や海の色と対比させた黄色をコードカラーとすることで、この場所の世界観を表現した。
また、一般的な駐車場として必要なラインや機能としてのピクトサインもオリジナルでデザインし、この場所を特徴づけるカラーや、カメラや自販機を連想させるピクトで遊び心を演出した。もはや駐車場という概念ではなく、車を停める事のできるアートスペースとして、駐車料金という概念自体を取り払って、入場料という表記としてみたり、夜になると、うっすら照らされる駐車場の外灯は、その黄色く着色されたH鋼自体が光っているかのように、幻想的な空間をつくりだした。
場所|福岡県糸島市
用途|駐車場
クライアント|株式会社ブルースカイ
設計・監理|STUDIO MOVE Co.,Ltd
施工|DEE ART
ディレクション|Acht Inc.
グラフィック|かぶとむし
写真|exp 塩谷 淳