山口県宇部市で計画中のカフェプロジェクト。
「中間領域」
私たちは縁側という場所を外側と内側とをつなぐ境界であり、コミュニケーションを繋ぐ中間領域と位置付けました。計画地である外側との境界としてガラスで区切られたスケルトン空間に、一本の線でできた単純なプランを描きます。そこで求められた機能であるカフェとシェアオフィスの場を一本の線により境界づけることにより、均質的な空間に外側(シェアオフィス)と内側(カフェ)という関係性を生み出すことを試みました。
内部空間の中に、外のような室内という環境を作ることによって、本来の外と内側の間に縁側的な中間領域が生まれます。かつて縁側という場所で、ご近所の方が立ち話をしに来ていたように、カフェに来たお客さんや外を通りがかる人が、そこで働く人々とのコミュニケーションを生みだすような場所。時には仕事の依頼やそこで働いてみたいという想いが生まれることもあることでしょう。
もうすでに、言い尽くされている言葉ではありますが、今後さらに情報化が加速し多様なビジネスが生まれていく中で、単に一つの目的の為に空間が作られていくという事は少なくなり、様々なプログラムが凝縮され、よりスマートになっていくと考えています。限られたスペースの中で無限の可能性を生み出すスマートフォンのように、この場所は、カフェとオフィス、休憩と仕事、個人と社会、単体と複数など、あらゆる混沌とした状態を受け入れながらも開かれた居場所となることを想像します。