南京と語らう Vol.3 

19/10/03

今回参加したフォーラム「LABIRD 2019 DESIGN FORUM」は、中国全土から集結した学生が、限られた時間と条件の中で建築家とスタジオ形式で、空間をつくりあげるというもの。

さて、いよいよグループの成果発表です。

各建築家の思考と手法が反映され、テーマは同じでもアプローチの仕方で全くちがう空間が現れます。おもしろい。ワークショップに参加した学生はめちゃくちゃ楽しかっただろうな。

この経験は、これからの人生に必ず活きてくるのだと思います。

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① 南京の街

② 朝はモーニングからはじまる

③ 成果発表会

④ 五十嵐淳さんと、建酒談話

⑤ 水攻め

⑥ 弾丸建築ツアー

⑦ チリの建築家と磯崎新さん

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第一グループ|pezo&

対象である空間のデッサンからはじまり、一人につき100枚を超えるデッサンをスケッチ。

開口部から入る光を色によって空間の構成要素を断片的に捉え、空間における奥行きを検討したものだと聞く。それら断片から、壁や天井の奥行きを家具配置を行うことで、その奥を感じさせるというプランのスタディ、そして実際にアクリル絵の具で、ペゾアートとして絵画を完成させていました。学生にとっても非常に良い体験だったに違いない。

 

第二グループ|五十嵐 淳

その場所に在る建築はどうあるべきかを、そこへ行くプロセスから実際に建てることを前提とした取り組み。

学生と3週間過ごし、その期間で実際に茶室をつくるというお題を出すものの、同時にそんなことが本当にできるのかという心配も。一つのグループで一つの対象を一度につくるのではなく、グループ内でさらにチーム分けをし、案を考えさせる。そしてその案の中から3作品を選び、選出作品をグループ全体で再思考というように、階層を経て向上させていく。途中、五十嵐さんより日本のグリッドである910ピッチによる制約があえて設けられ、なんでもありとならずに自由さを作り出せるよう導びかれている。面白かったのが、なぜか各グループの検討段階で布を使って建築してみたいという学生が多く、その意思も働きグリッドに乗せている。

できあがった茶室は、南京の蒸し暑い屋外空間の中で、薄いカーテンによりやわらかい境界をつくり、風にただよう涼しさをもちながら平面断面に多様な居場所を生み出せていることが、とても魅力的でした。茶室といえば、一対一の関係性をイメージしますが、休憩室と茶室の間のような、寄り集まって、木々で休む鳥のような自由な広がりとゆるく閉じた建築を見せていただきました。

 

第三グループ|パスカル

対象地をかなり広げ、南京という「街スケール」までリサーチを広げることからはじまっている。オルジアティ出身というアイデンティティーが起因しているのか、学生との議論も盛んにおこなわれ、より自由に建築を考えてみようというスタンスだったと聞く。

「その場所に建つ建築はどういう建築なのか」

3週間という期間で場所の選定、リサーチ、そこに建築が建つ意義、そしてその形態的な操作と、出来上がる建築。という一連の流れは、卒業設計やコンペ的な印象を受けた。主催者側としてはこのような進行方法が面白いと捉えていたようです。

どのグループにも特徴があり、全くといっていいほど別のアプローチや表現でアウトプットしているため甲乙つけがたいが、僕個人としては、今現在自分の成長を考えると、pezo&グループの取り組みと、学生時代にやってみたいことや成果物としての達成感として、五十嵐チームという二点が素晴らしく、とても面白かった。

 

つづく。