「未来を創造する」とは何か。
今、目の前に見えているものだけが存在しているのではなく、本当はそこに在るのにただ気づいていなかったり、見えていなかったり、見ようと意識していなかったり。
だけど、世界をほんの少しだけ丁寧にそしてじっくり眺めてみると、未知なる可能性がたくさん隠れていて、おそらく「デザイン」というのはゼロから何かを生み出すのでなく、それらの気配を感じられるように、ひとさじ魔法をかけるようなことなのかなと。
光に舞う羽根みたいな。
7月29日、広島の不動産部会にお招きいただき、モブ代表ふたりが「カタチトカチ」について講演させていただきました。今回は「不動産」という切り口からテーマを決め、今一度「デザインとは?」を思考してみようという内容です。導入が面白かったので、ご紹介します。
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日本でよく見かける「マンゴー」、みなさんは何を思い浮かべますか?
この問いかけの発端は、昨年、台湾を旅した際に見つけた「黄色いマンゴー」に、さいとうくんがどうも引っかかったようで、よくよく調べてみると日本で一般的に認識されているのは「赤いマンゴー」なのだと。本来は「黄色いマンゴー」なんだそうです。
え、どうして日本は「赤いマンゴー」なの?
実はこの「赤いマンゴー」、元シャープの副社長・佐々木正さんが高校の卒業研究で「りんご」と「マンゴー」を掛け合わせ「アップルマンゴー」を開発し、日本マンゴーの基準となったそうです。知らなかった。
佐々木さんは世界で初めて卓上電卓機を開発した方でもありますが、ビジネスマンとしての先見の明にも秀でており、若かりし孫正義青年に「電子翻訳機」開発へ1億円の投資を行い、またスティーブ・ジョブズへも影響を与えた偉大なる人物でした。
佐々木さんにとってビジネスの起源とは「アップルマンゴー」であり、北国の果実であるりんごと南国の果実であるマンゴーという、相反する要素を掛け合わせ「新しい価値を創造する」ことであり、改めて世界は今、一つの要素や、固定観念に縛られない 思想や関係性を見直し再定義することで、次の未来を魅力的に生み出すきっかけとなるのではないでしょうか。
ジョブズにとって ”りんご” とは正に「アップル」であり、相対的には10%の要素でも絶対的な価値を創造し「現実」として、彼は私たちに感動を届けてくれました。
物質的な可視的な豊かさを超える、まだ見ぬ世界へ、人が生きるために必要なことを今よりさらに魅力的に動いた世界を創造したい。これからも、デザインをとおして人々の心に感動や抑揚を与え、驚きや 楽しさが周囲の人に浸透し、派生していくようなチーム「MOVE(モブ)」でありたいと思っています。
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1時間の講演会はビジュアル中心のスライドでまとめられ、内容の構成は事前にしっかり打ち合わせしたものの、特に役割を設けることもなく、その場の空気と互いの呼吸に応えながら進んでいきました。普段は各拠点でプロジェクトを進行し、恋人以上に毎日電話とLINEでコミュニケーションを図るふたりですが、物理的な距離が決してネガティブでなく、むしろポジティブに作用し、互いに客観性をもってプロジェクトを良い方向へ導くこと、ただ一心に向かう姿勢がいいなと思います。いつものことながら一緒に居れば漫才のようで、久々に全員集合の広島事務所内は穏やかな笑い声が響いていました。ひとつ留意点としては、ボケ担当が過半数を超える危険性がありますので、ツッコミ担当を募集したい所存でございます(笑)