インプレスト天神オークタワー 

福岡天神エリアに建つ新築マンションの一室を設計からインテリアまでトータルでプロデュースしたプロジェクト。

少子高齢化や核家族化、時代の変化に沿ってライフスタイルの多様化と言われ続けてきた現代。
ネットワーク技術の急速な進化により、働き方も変化している中で、住まうことと働くことの境界はより曖昧になってきました。特に 2020年は私たちの日常を激変させ、必ずしも暮らしの中心がリビングである必要がなくなり、仕事ができるスペースや自宅で運動できる場が中心になることも容易に想像できます。そんな中で、私たちは本来料理をつくるための場所であるキッチンスペースを空間のコアとして設え、エントランスから続く土間空間に大きなキッチンカウンターを配置しました。

ここでは、料理をつくるという行為以上に、コミュニケーションの中心の場となり、作る、食べる、働く、迎え入れるなど社会とのつながりを包括できるような空間を生み出します。今、改めて住空間の多様性とはどういうものなのか、本来の意味を問い直し、その再考を重ねていくことが、新しい未来の暮らしに繋がると信じています。

今回のスタイリングに採用した家具は、素材が持つ魅力と現代の技術を融合させた新しい価値観でデザインされたものを採用。時代に左右されることなく普遍性な経年美を持ちながら素材、機能、デザインともに長く使っていただくことができます。床材や建具の素材選びも丁寧に行いましたので、空間としての統一性を大事にしながらも一つ一つの要素に個性を与え、手触りや質感、素材の組み合わせにこだわりました。決して主張が強いものではありませんが、ふとした瞬間に気づくことや時間をかけて変化していくこと、それらが暮らしの中に蓄積されて、住む人にとっての真の価値が生み出されていくのだと思います。多様化する現代のライフスタイルへ柔軟に進化していく暮らしの在り方と、大切にしたい価値を見極めながら細部にも注目してみてください。

場所|福岡市中央区長浜
用途|住宅
クライアント|双日新都市開発株式会社
設計・監理|株式会社スタジオモブ
施工|株式会社若杉建設
照明計画|株式会社モデュレックス
家具|アハト株式会社
撮影|exp 塩谷 淳