ふくや福岡空港店

福岡で明太子と言えば、数多くのブランドや品数を揃え、各社渾身の明太子を空港や博多駅のお土産売り場を中心に販売している。この背景には、地域全体の発展のために秘伝の製法を公開した老舗「ふくや (川原俊夫創業)」の存在があった。

福岡空港リニューアルに伴い、本出店を決定した株式会社ふくやは、創業70周年を迎えた今、これまでの「贈答・土産」を主流とした販売形態から、明太子を通した食の提案を具現化するという価値を新たに「温故知新」というコンセプトのもと空間デザインのアイデアが求められた。

私たちはこの古き良きの時代背景を継承しながら、空港内の限られた区画の中に小さな木造建築を建てるように空間を構成していく事を考えた。

明快なグリッド構成によりスタッフ動線とお客様導線を明確に分け、通路に面した間口を大きく開いた構成とする事で、誰もが入りやすく、迎え入れるようなファサードを意識した。空港店オリジナルの商品である「明太キッシュ」の制作工程を魅せる演出とその芳ばしい香りで空港に行き交う人々を呼び込み、トランクケースなどの大きな荷物を持ったまま店内に入ることができる。また、フライトまでの限られた時間内でのセレクトとなることから、カテゴリー別に分けられた壁一面の商品棚によって、求める商品を一目で見つけられるように、整然と並ぶ美しさを兼ね備えた空間グリッドと一体となった什器構成とした。

商品ディスプレイや店内のサイン計画、ポスター等の商材やプライスカードに至るまで、協力デザイナーとともにチームとしてつくりあげる事で、店舗全体の統一感とコンセプトを体現する空間となることを目指した。

場所|福岡空港国内線旅客ターミナルビル2階
用途|物販店舗
クライアント|株式会社ふくや
設計・監理|STUDIO MOVE Co.,Ltd
施工|株式会社バウハウス丸栄
グラフィック|株式会社1
撮影|exp 塩谷淳

2018|Fukuoka