Interview:matilda〈前編〉

21/10/03

2021年4月、広島の中心市街地を走る電鉄沿いのビル3階に美容院がオープンしました。その名も「matilda(マチルダ)」。店名は、1994年に公開された映画LEONより当時13歳のナタリー・ポートマンが演じた魅惑的な少女、“マチルダ”に由来しています。

オープンから3カ月が経った7月、慌ただしい準備にひと息つかれたオーナースタイリストのJUNさんを訪ね、独立されることを決めたきっかけからオープンに至るまでのたくさんの想いを改めて伺ってきました。

 

matilda代表 JUNさん

お客さま一人ひとりと丁寧に向き合って理想のヘアスタイルや髪質をデザインすること。安心して任せていただける存在であること。そして髪へのストレスがない自然体な暮らしをお届けすること。それが、僕の使命だと思っています。どんな瞬間も「あ!なんかいい感じ」と、心からご満足いただけるように、日々全力で施術を行っています。

 

-美容師として独立することは、20代のころから描いていたのですか?

JUNさん:いえいえ。強い独立願望があったわけではなかったのですが、17年間の美容師歴で現場もマネジメントも教育も一通り経験したなかで、組織ではどうしても変えられないことに気がついて。2020年1月、37歳になったタイミングで「よし、自分でやろう」と独立を決意しました。

-その一番の要因は何だったのでしょう?

JUNさん:教育方針ですかね。僕と会社の間で少しずつズレが生じてきてしまって。美容学校を卒業して「広島で一番の美容師になりたい」と思い、県内で一番厳しいと言われていた美容院に入社したのですが、ちょうど大型店新規オープンのタイミングということもあり、みんな気合十分。結果を出すための教育も厳しくて、一緒に10名入社したのですが、気づけば僕だけに。

-結構、厳しかったのですか?

JUNさん:すごく厳しかったです。でも、すべてはお客様のための厳しさで、今となっては僕の美容師としての根底となる大切な時期でした。厳しくも熱心に練習に付き合ってくださる先輩方や仲間と切磋琢磨しながら、僕自身も本当に鍛えられました。

-その経験が今のJUNさんにつながっているのですね。

JUNさん:13年前に3号店となる八丁堀店を立ち上げることになって、店長を立候補しました。そこで初めて店長を経験するのですが、これがなかなか上手くいかない(笑) 店長という立場からスタッフに指示を出さないといけないのに、彼らがなかなか動いてくれなくて、めちゃくちゃ苦戦しました。

 

 

JUNさん:これじゃダメだと思うのですが、誰にも聞けないから本屋へ行きました。本なんて読んだこともないのに(笑)そしたら池上彰さんの「伝える力」という本が目に留まって。立ち読みして腑に落ちてしまいましたね。

-もう、これは買うしかないと。

JUNさん:はい。読み進めていくうちに、自分のやり方が間違ってることに気づいたんです。当時の僕は、伝えられる側の背景をちゃんと理解できてなかったんですね。まずは相手に寄り添わないといけないのに、自己満足的な伝え方になっていました。大反省です。店長1年目、初めて自分のプライドを捨てました。

-20代ですよね?

JUNさん:はい、26歳でした。

-その若さで自分を変えられたことがすごい。

JUNさん:自分を変えないとダメだと、気づけたんだと思います。そこから「伝える」ことに向き合って、一方的な言い方ではなく「協力してほしい」という言葉に変えてみたり、時には頭を下げてみたり。もちろん僕も若かったですから、本当はそんなこと言いたくない(笑)でも、店を良くしていくためには彼らの力は絶対的に必要で、どうすれば協力してくれるだろう?と考えたときに、彼らと同じ目線に立って自分の弱さも共有しながら伝えていくことが大事なんだと思いました。

-スタッフの行動は変わりましたか?

JUNさん:変わりましたね。すごく協力してくれるようになったし、数字を作っていかないといけないことにも気づいてくれました。

 

 

JUNさん:何よりも、店長を任されたことによって僕自身が大きく成長できました。だからこそ、育ってからポジションを任せるというよりも、先に場所を用意して、経験させてみて、そこから学んでくれることを大切にしたいと思っています。

 

 

>つづく