Interview:株式会社ライナフ〈後編〉 

21/10/02

株式会社ライナフさんへのインタビュー後編は、スマートロック開発秘話とライナフさんが描く未来の風景についてです。

前編

 

 

まずは代表の滝沢さんが「スマートロック」に出会うまでに、時間を巻き戻します。

小さなころから「社会貢献をするために人生はある」という信念と共に育った滝沢さんが教育学部生として20代を迎えたころ、「そもそも社会貢献ってなんだろう?」という考えをめぐらすようになったそうです。当時世の中は、GoogleをはじめとするIT企業が伸びていた時期。デジタル機器1台が社会へ与える影響が大きいということに気づいた滝沢さんは、教員ではなく起業家として貢献する選択肢もあるのではないかと考えるようになったそうです。大学卒業後、起業へ向けて資金と経験を積むための行動を起こし、その中で経験した不動産オーナーという立場を通して「鍵」の課題に直面されました。

 

株式会社ライナフ

住宅向けスマートロック「NinjaLockM」など、AI、IoTの最新技術を活用した不動産管理ソリューションを不動産業界向けに提供。オートロック付き物件における安全な置き配の普及を目指した「置き配with Linough」を推し進める。東急住宅リース、Good不動産、工藤建設、BRI等、連携実績多数。オフィシャルサイト:https://linough.com/

 

左|管理部部長:佐々木さん 中|プロジェクトリーダー:小田さん 右|広報:伊勢さん

 

佐々木さん:不動産を管理運営していく上で、鍵は重要な存在だけれどすごくアナログな世界。そして管理が大変。適当にしておけばいいというものではなく、誰かに任せるわけにもいかない。どうにか解決できないか色々と調べていた滝沢は、アメリカのベンチャー企業が発売していた「スマートロック」に出会います。「これだ!」と取り寄せてみると日本の仕様に合わない。普通だったらそこで諦めてしまうと思うのですが、せっかく取り寄せたのだから分解してみようということで、スマートロックの開発がスタートしました。

 

-自分で開発しようという発想がすばらしいですね。

 

佐々木さん:滝沢自身はエンジニアではないのですが、分解してみたら「意外とこれ作れるかも」って思っちゃったみたいです(笑)きっと同じ悩みを抱えている不動産オーナーがいるだろうと、事業として始めたのがライナフのスタートですね。

 

住宅向けスマートロック「NinjaLockM」

 

-日々のプロジェクトは、どんなふうに進めているのですか?

小田さん:プロジェクトがスタートするとスピードが大切なので、必要に応じてリソースを調整していく、というチーム編成です。

伊勢さん:ベンチャー企業は基本的に意思決定が速いと思うのですが、ライナフは特に速いかもしれません。速さの秘訣は、私たちが作っているサービスがハードとソフトの両面を持っているところが大きくて、そのいずれでもアイディアが沸き上がったら「まずはやってみる!」精神がプロジェクトを常に前進させているのだと思います。そこは代表の滝沢の手腕というか、意志が反映されているのかなと。

-まずはやってみる精神。

伊勢さん:はい。とにかくまずはやってみる。社員全員がチャレンジを前向きに捉えて、アイディアをどんどん具現化していくので、短期間で成長している人が多いですね。

 

 

-ハードというのは、実際にプロダクトまで落とし込むということですか?

伊勢さん:そうですね。鍵という性質上、0.01%の失敗、つまり「鍵が開かない」「家に入れない」というエラーは絶対に起きてはいけないことなので、セキュリティ面で求められる質の高さはベンチャーとして難易度の高いお題だと思います。だけど、それを乗り越える「強固」な部分と常にチャレンジする「フットワークの軽さ」の共存が私たちの強みになっていると思います。

小田さん:改めて客観的に見てみると、そうかもしれないですね。

伊勢さん:転びながらも伸びつづける、という心意気。

小田さん:そういうふうにやっていく中で、新たなチャンスが生まれているのかもしれません。

 

 

-ライナフさんが描いている「未来」ってどんな風景ですか?

佐々木さん:私たちの中で「鍵」というのはまだ入口の段階です。

-入口ですか。

佐々木さん:鍵ってドアに掛けているだけなんですけど、アナログな鍵がデジタル化していけば、ドアの向こう側の世界が広がると考えています。例えば、夫婦共働きで「家事に割ける時間がない」という課題。外の世界ではいろんなコンテンツが増えていて生活行動が変化しているのに、家の中のコンテンツはアップデートされていない。家の中の課題を解決する手段のひとつとして、スマートロックが外と家(内)をつなぐことができれば、社会貢献できるのではと思っています。

-たしかにそうですね。

佐々木さん:在宅介護のシーンでも、ヘルパーさんと「鍵」のやりとりが「いつ誰が家に入ったか」という情報まで含めてデジタルで管理できるようになれば、それだけでお互いのタスクが軽減できます。これは多様なシーンで応用ができて、家事代行とかネットスーパーで買ったものを冷蔵庫に入れるまでのサービスとか、ドアを起点にサービスが拡張できるのではないかと。

 

 

佐々木さん:もちろん、どこまでも入ってこられると気持ち悪さが出てくるのですが、例えば、玄関まではスマートロックにして必要に応じて誰でも入れるようにしておく一方で、その先のドアに関しては完全なる「鍵」をかけておくとか。セキュリティレベルを家主が設定できさえすれば、その点は解決できるかなと思っています。時代と共に私たちの行動も変化していく中で、外のサービスを少しずつ家に入れることができれば、家の中のコンテンツもアップデートの余地がありそうですよね。

-ネットワークの段階的なセキュリティの考え方をそのまま物理的な「鍵」として挿入していくというのは、構造的にもネットワークと同じですね。外に開くこともできると考えれば、街や都市単位でも閉じたり開いたりできるかもしれません。

佐々木さん:壮大な視点では、そうですね(笑)

-今生じている様々な課題が「鍵」ひとつで解決できて、世界も変わりそうです。

佐々木さん:そうですね、意外とそのキーってここだなと。

伊勢さん:(鍵だけに)上手いこと言いますね!

 

 

-ライナフさんは「今」をよく観察されているなとお話を伺いながら感じるのですが、どうやってその観察力・洞察力を磨かれているのですか?

小田さん:それは私も滝沢の脳内を覗いてみたいです・・・。

伊勢さん:アイディアはどこからくるんだろうと思って、滝沢に聞いてみたことがあるのですが、意外と子供と遊んでいるときとか、ふとした瞬間に「これってこういうことで解決できるんじゃないか」と、思いつくみたいです。日常のなかに転がっていることにアンテナを張っておくこと、それをどうやったら実現できるか、そして実現までのアウトプットの循環を常にしているような気がします。

佐々木さん:「外のコンテンツを家(内)に挿入する」という考えも起業したときから持っていたわけではなく、後から湧いてきたアイディアなので、もしかすると3年後のライナフは、全く別のことをやっているかもしれません(笑)

-えー!それはもう、3年後にまたインタビューに来てもいいですか?

小田さん:ぜひ、お待ちしております。

 

 

インタビューは終始笑顔に溢れながらも話の内容はとても真摯的で、私自身もたくさんの気づきをいただくことができました。3年後のライナフさんがどんな事業をされているのか、また機会があればぜひお話を伺いたいと思います。佐々木さん、小田さん、伊勢さん、そしてライナフのみなさん、ありがとうございました。

 

インタビュー:スタジオモブ編集長