まちの魅力をつなぎたい

23/05/29

「久留米でカフェをやりたい」という6年越しの夢をようやく叶えられる荒巻さん。イベントで何度かお会いしたことがありましたが、改めてお話を聞くのは初めてだったので、中尾さんと出会ったきっかけからカフェの実現に至るまでの6年間を色々とお伺いさせていただきました。

 

-もともとお二人の出会いって、何きっかけでしたっけ?

荒巻さん:福岡大学の先生からちょっとゼミにおいでよと誘われて。

スタジオモブ中尾:あれ、そういえば荒巻はなんで来てたんだっけ?

荒巻さん:それが、何回振り返っても私も思い出せなくて(笑)中尾さんは?

中尾:僕はたしか、友人と一緒に行ったイベントのときが先生との初対面で、その時にいろんな話をしてたら「アプリを開発している学生がいて、相談にのってほしい」と声をかけていただいて、それで友人と3人で行ったのがあのときだった気がする…。

荒巻さん:古着のアプリをつくたい学生さんが集まったゼミだったと思います。

-当時(2017年)、荒巻さんは何年生だったんですか?

荒巻さん:2017年の春に大学は卒業していたんですが、それから1年間研究生をやっていて。

-どんなことを学んでいたのですか?

荒巻さん:もともとは経済学部経済学科だったんですけど、ミクロ・マクロ経済ではなくて地域創生に関わる「経済学部文化経済学科の授業が受けたくて。

今宿のリノベ|03にて取材中

-そのころから、カフェづくりの構想が?

荒巻さん:大学4年生の冬にそういう道に進みたいなと思いはじめて。そのころにはもう卒業単位は取れてたんですけど「卒業したくないから単位を落としてください」って先生に言いに行ったんです(笑)そしたら、「研究生という制度があるからそれで通ったらいいよ」って教えていただいて。

中尾:へぇ~(笑)

-研究生としての1年間は、どんなことをされていたんですか?

荒巻さん:文化経済学科のゼミに入って、宮崎県の日南商店街や地方の色々な取り組みについて研究していました。

中尾:あれ?そのときも一度会わなかったっけ?

荒巻さん:そこには私いなかったかもです。でも、みなさんが日南のスーパーを改修するプロポーザルに出したという話は伺っていました。

中尾:そうそう。独立してすぐの頃、京都のOHAとやったプロポーザルが1次審査を通って。それで、2次審査で日南へ行ったときに「日南を盛り上げるプロジェクト」を主宰している方にお会いしたんだけど、数年前には那珂川(福岡県那珂川市)を盛り上げる活動をされていて、そこにも少し在籍してたんだよね。

荒巻さん:研究生を終了したあとに、アルバイトとして働かせていただいていました。

-結局、お二人が仲良くなるきっかけになったのはいつごろ…?笑

中尾:(笑)

荒巻さん:それはたぶん「福大のあとに飲み会をするからおいでよ」のやつじゃなかったですか?

中尾:あ、そうだそうだ。大事なこと忘れてた(笑)

荒巻さん:福岡大学の研究室に訪問したあとにみなさんと一緒に帰ってて「今度3人で飲みに行こうと思ってるんだけどくる?」って誘っていただいたんです。それで当日、久留米から終電で行くっていう(笑)

中尾:そうそう、久留米から終電でくるやつがいるって(笑)だから荒巻は「飲むときは終電でくる人」っていうイメージです(笑)それから事務所のイベントとかにも来てくれるようになったよね。

荒巻さん:別件で用事があったんですけど、でも行きたくて(笑)「会った方がいいな」という直感が働いたんだと思います。

中尾:(笑)それから何回か、カフェをつくる機会はあったんだけど、タイミングとか条件が合わなくて結局実現できなかったんだよね。

荒巻さん:私がいろんな人に「カフェがやりたい」って話をしていたので、こんなところあるよ~って紹介していただくんですが、条件がなかなか合わなかったりで…。

-「カフェをやりたい」と思ったきっかけがあったのですか?

荒巻さん:学生のころから、人が集まる場所がつくりたかったんです。就活の時期になるとみんな大阪とか東京の企業に行ったりするじゃないですか。そのタイミングで地元の情報を見たとしてもなかなか興味が持てなかったり、そもそも見ようとしなかったり。でも、もっと前から久留米の良さを知っていれば「久留米で活躍する」という選択も増えるんじゃないかと思って、学生や企業が集まる場所をつくりたいなと。

-地元がすきなんですね。

荒巻さん:あ、いえ、地元じゃないんですよ(笑)

-え、そうなんですか?笑

中尾:不思議やろ(笑)

荒巻さん:出身は春日で、4年生までは実家から大学へ通っていたんですけど、カフェをやりたいと決めたときに久留米に引っ越しました。だから同級生が卒業で出ていくタイミングで私は出向くという(笑)

-ずばり「久留米の魅力」って、何でしょうか?

荒巻さん:業種問わず、人の繋がりが濃いことかなと思います。その善し悪しは受け手によるかもしれませんが、私はその近さがすきです。基本的には、この街のコミュニティってつながってるんですが、ただそこに学生のネットワークが入ってなくて。単発なイベントで学生が入っていることはあっても、継続されにくいというか、関わり方が難しいのかな。人間関係が構築されて仲良くなるってところまでできたら、もう一歩先の関係が生まれてより良くなるんじゃないかと思います。

-6月にオープンされたカフェのコンセプトを教えてください。

荒巻さん:屋号は「LEGATO(レガート)」という音楽用語から付けました。次の音に繋げるように弾くという意味です。カフェでの出会いが、次の何かに繋がればいいなという思いを込めています。

-場所は、どのあたりですか?

荒巻さん:JRと西鉄の間で、商店街の中でもなく久留米大学からもちょっと離れているんですが、ゆっくり時間をつくってきてもらえるような場所にしたいなと思います。落ち着いたら、学生向けのイベントとかもやっていきたいですね。

-物件やタイミングも含めて、決め手はありましたか?

荒巻さん:「20代で何かをやりたい」というのはありました。ちょうどいい物件が決まったり、突然の親の協力もありまして(笑)就職せずに研究生として久留米に引っ越すときはかなり反対されましたけど、こっちで楽しくやっている姿をみて「やってみたら?」と応援してくれるようになったんです。遠回りもしたけど、でも、今のタイミングだったから物件にも出会えたし周りの環境があるから、今がベストだったなと思うので、いい場所になってくれたらなと思ってます!

編集後記
きっと6年間の歴史には、たくさんの紆余曲折があったんだろうなと思います。それでも、ひたむきに進んでこられた荒巻さんの姿と、久留米を愛する気持ち、この街のよさをもっと知ってもらいたいという思いに、たくさんの応援が集まって「今」があるのだと思いました。LEGATOにお伺いできる日を楽しみにしています!


Cafe & bar LEGATO
所在地|久留米市本町12-23 堤ビル1F
Cafe|11:00 – 18:00
Bar|20:00 – 0:00
店休日|日曜日・月曜日
Instagram|@legato_kurume