福岡県那珂川市に位置する食パン専門店。
新幹線の車庫が近く、高架下に沿った場所にあるこのお店は小さな庇をそっと持ち出してその場所に佇んでいる。まるで焼き菓子のような加工の木のドアが大きく開いて、焼きたての食パンの香りと大きなカウンターが出迎えてくれる。店内はテイクアウト専門のため、このカウンター越しにお客様との会話が飛び交う。ひとつひとつ丁寧に手加工されたような木材はついついその表面に触れたくなるような質感でお客さまもお店の人も思わず触ってしまう。
飲食店を設計する上で美味しそうと感じる空気感はとても重要で、焼きたての食パンを想像させるような素材感を持ったカウンターと、庇から店内に導かれるようにおり上げられた天井はそのまま食パンラックへと続き、厨房と売場をゆるやかに隔てる。そんな2つの軸を持った構成はお店のロゴともリンクしており、空間性とグラフィックとの調和を意識的に実現したプロジェクトでもある。
場所|福岡県那珂川市
用途|飲食店
クライアント|株式会社 Side by Side
設計・監理|株式会社スタジオモブ
施工|株式会社若杉建設
撮影|exp 塩谷 淳