Interview:YELLOW BASE COFFEE 

21/05/21

青く深く広い海に山々が幾重にも連なる風景。
対馬には一言では表すことのできない色が織り重なっています。

翆色、青柳、柳色、山藍摺、花萌葱、深碧、孔雀緑、呉須色、青藍、花色、水縹、紺碧…

こうやって書き出してみると日本の伝統色ってたくさんありますね。何よりも言葉が瑞々しい。私の目に映った対馬は幾重もの深い色が光の中で呼吸しているような、美しい場所でした。

いさり火を灯す場所

長崎県の離島・対馬で、2021年4月にカフェをオープンされたご夫妻がいらっしゃいます。熊本智明さんとみきさん。大阪で出会った二人はご主人の地元である対馬へU・Iターンすることを決め、2020年に移住されました。

智明さん:
『対馬に戻ることを決めてから自分たちに何ができるかを考えていました。僕の両親が旅館を営んでいて、隣にRONという中華料理店を併設していたのですが、現在は旅館のみの運営になっています。この場所が空いてるから何かできないかなと。前職でラーメン店を経営していたので『対馬ラーメン』がまず候補に挙がったのですが、人と人が繋がっていくコミュニティのような「場」をつくりたいというのが一番にありましたので、そこを軸に考えていくなかで辿り着いたのがカフェでした。彼女の経験も活かせるということもあり、やってみてはと。 』

みきさん:
『ふたりで色々と話をしながら対馬にどんなカフェがあるのか調べてみたところ、珈琲を専門とするカフェがないことに気づいたんです。喫茶店はあるけど、専門店がどうやらなさそう。よし、そしたら私たちが対馬に珈琲のカフェ文化を築いていこうと、カフェをつくることにしました。』

そこから店舗の空間イメージを形にするために設計事務所を探しはじめ、スタジオモブを見つけてくださいました。

みきさん:
『糸島(福岡)にある「#ジハングン」をインスタでたまたま見つけて。建築を様々な視点で捉えられているところが面白いなと思って連絡をしました。初回打合せのときに共感できることが多くて、ここにお願いしようと決めたんです。』

海辺の駐車場プロジェクト|自動販売機の群衆#ジハングン

私たちもご夫妻の人柄と想いに惹きこまれ、対馬に想いを馳せながらこれからどんなカフェができていくのだろうと楽しみなプロジェクトになりました。店舗のロゴは、ジャスティプラントさんにご依頼され(きっと、モブさんとも相性がよいと思いますよ~とご縁をつないでいただきました!)ブラッシュアップを重ねて完成されたのがこちらです。

コンセプトは、YELLOW BASE COFFEEの由来である一燈照隅。
「一隅を照らす」という言葉と「みんなが集まるいさり火を灯す場所になってほしい」という願いが込められています。

みきさん:
『このロゴを作るにあたってジャスティさんから「好きなイメージ」「嫌いなイメージ」を送ってくださいという宿題をいただいて、テーマカラーの「黄色」を集めていたのですが、その中でも好きな黄色とそうでない黄色があることが見えてきました。好きな黄色って何だろう?と、さらに深堀してみると「ポイントカラーとなる黄色」や「ブルー×黄色」「黒ゴシック体と相性のよい黄色」が好みということが明確になりました。』

この作業、実はみきさんが前職の業務を思い出してやってみたのだそう。

みきさん:
『その日の会議に必要な情報を雑誌からひたすら切り抜いてまとめる。とにかくたくさんの情報に触れて集めたものが、会議後に一つのコンセプトとしてまとまっていました。これを繰り返していくうちにセンスが養われていったのと同時に「大切なことは何か」が分かるようになっていきました。』

ロゴの完成後は「つしまるしぇ」への出店に向けてオリジナル珈琲の制作にとりかかります。COFFEEBOYさんと試行を重ねて完成したオリジナルブレンドはとても飲みやすく、あと味がほんのりフルーティなのが特徴です。

みきさん:
『わたし個人でいうと苦いのが好みですが、オリジナル第一号ということで珈琲が苦手な方でもおいしく飲めるようにブレンドしました。「酸味が苦手」という方が多いと思いますが酸味にもいくつか種類があって、レモン系の酸味、ベリー系、シトラス系など紐解いていくと様々です。酸味の嫌な記憶は消しつつも、クリアな印象を残せるようにつくっています。』

準備を経て迎えた2日間の「つしまるしぇ」は大盛況。
「この豆どこで買えるの?」のご要望に応える形で、対馬市内のスーパーやオンラインショップで珈琲豆の販売を行い、少しずつファンを増やしていったそうです。その後もインスタを中心にお客さまとコミュニケーションを重ねられていたのが印象的でした。

みきさん:
『嬉しいことに「インスタずっと見てみました!」と言って来店してくださる方もいらっしゃって。』

実は、私たちが対馬空港に降り立ってレンタカーを借りた際に、スタッフの方から「最近、対馬にカフェができたんです!インスタでも話題になっていますのでぜひ行かれてみてください」と笑顔でご紹介いただき、我が娘を褒められているような嬉しいニュースからはじまった旅でもありました。オープン早々話題になるとは、びっくり!

智明さん:
『今は、お客さまのほとんどが地元の方なので、テイクアウトでの注文が多いですが、これから少しずつ企画をすすめて、この場所でもゆっくり過ごしていただけるような提案を交えていきたいですね。今、対馬の人口は3万人弱ですが、今後1.8万人まで減少すると予測されています。若い世代が島から離れてしまうことが多いですが、僕自身、一度地元を離れ、改めてこの土地の魅力に気づきました。だから、一緒に対馬を盛り上げていきたいと思っている方、特に若い世代の方にとってこの場所が、何かをチャレンジする一つのきっかけになればいいなと思っています。対馬に住む人も観光で訪れた人も、ここに集う人と人がつながって交流が広がり、みなさんの活動のBASE(=基地)になれるように、まずは僕たちがしっかり頑張ります!』

今回、熊本夫妻にお話を伺うなかで、お店づくりも、豆づくりも、そしてメニュー考案からサービスまで、一貫して「来てくださる方が喜んでくれるように」という気持ちを一番大切にされていることを感じました。対馬のBASEとしてい蝋色なことが発信できるようにと、夢が盛沢山なおふたりに今後の展望をお尋ねしてみると、

智明さん:
『キッチンカー、やりたいですね!そこで限定ラーメンを提供してみたり。』

みきさん:
『夜の雰囲気も楽しんでいただきたいので、夜カフェとか。キャンドルのような小さな灯と少しだけお酒も用意できたらいいな。あと、手土産にもっていけるお菓子がほしいという声があったので、お菓子セットに可愛いギフトボックスを用意して…、これはもう発注しています(笑)』

その他にも、対馬をイメージしたオリジナルブレンドづくり(第二弾)や写真をテーマにしたイベントなどなど、今後が楽しみです!そして、おふたりが願う「対馬らしく、人が集まる」場所となるように、これからも応援していきたいと思います。

インタビュー:+MOVE編集長

素敵な店主が営むYELLOW BASE COFFEEの珈琲は、こちらのオンラインショップからも購入可能です。ぜひご利用ください。